デットスペースはプランニング次第で使い勝手のいい収納に
日々の暮らしの中でも、収納スペースが足りない、使いづらいといった不満は多く聞かれるもの。新築やリフォームのプランを検討する際であれば、できる限り豊富な収納スペースを確保したい、と望む方も多いでしょう。しかし、建物本体のスペースには限りがあり、充実した収納スペースを確保するのが難しいケースも。少しでも収納スペースを増やすためには、床下や小屋裏、階段下や壁の厚みなど、デッドスペースを活用するのもひとつの方法。上手にプランニングすることで、収納量だけでなく使い勝手も高まるケースもあるものです。
建材メーカーからも、あまり使用しない場所や使いにくい空間を有効活用するための商品やアイテムが提案されています。間取りの工夫と同時に、適する商品を上手に取り入れることで、使いやすい収納プランとなるでしょう。
取りだしやすい場所にプランニングすることがポイント。[床収納 スライド式52型 2連〈シルバー〉] DAIKEN
床下を利用する 出し入れのしやすさを充分に検討すること
■プランニングのコツデットスペースを利用した収納としてお馴染みなのは、床下収納でしょう。キッチンや洗面室などで、食品や日用品を収納しているご家庭も多くみられますし、子供室や寝室などでも使い勝手がいいものです。
床下収納はストック品などを収納するのに適していますが、低くかがまないと出し入れできないのが難点。上手に使いこなすためには、かがむ以外の無駄な動作が無いようにすることが重要です。たとえば、ダイニングキッチンに設けるのであれば、テーブルや椅子を動かさないで扉を開け、取り出し作業ができるかどうかの確認を。扉が開閉しやすいかどうかもチェックしておきたいポイントでしょう。
床下収納の蓋は、床材と揃えることができるので、インテリアとしてすっきりとまとまる。[ベリティス 床下収納ユニット 特長 収納ボックス] パナソニック エコソリューションズ
メーカーの商品としては、収納ボックス(収納庫)を床下に埋め込み、床材と同様の置き蓋、もしくは扉状の蓋を設けることができるものが揃っています。2階でも使用できる浅めの深さのタイプ、和室の畳下用の商品、高気密高断熱用のタイプもみられます。
また、複数(2~3)の収納ボックスを連結させることができるタイプも。収納ボックスがスライドするので、ひとつ分の開口部でも収納量をアップさせることが可能です。
小屋裏・ロフトを利用する 設置位置や昇降のしやすさに配慮して
■プランニングのコツ限られたスペースを有効利用する方法として、小屋裏収納やロフトなども代表的なものでしょう。取り入れる際には、設計プランに大きく関わるので、早めに検討を。大切なのは、いずれも収納しやすく出しやすい場所にプランニングをすること。行き来しにくい場合、一度収納したらそのままで、結局必要のないモノの置き場となってしまった、というのもよく聞く失敗談です。
いずれも、昇降時の安全には充分に配慮をすることを忘れずに。小屋裏では収納式のはしごが用いられ、ロフトでは引っ掛けて使用するタイプが多くみられます。収納式のはしごは、引き下ろすスペースにゆとりがあるか充分に検討すること。2階廊下の天井に設置する場合は、はしごを降りてすぐに1階への階段があるプランでは危険が伴うので注意を。ロフトの梯子の場合は、机やベッドなどの置き家具のレイアウトを考慮して、上り下りしやすい場所に設置することが大切です。
ロフト用のはしごは、使用しないときは壁などに引っ掛けて置くタイプも多い。間取りや使い勝手を考慮して設置を。[はしご 手摺付アルミ製ロフトタラップ] DAIKEN
小屋裏やロフトのスペースは、建物本体のつくりとなりますが、はしごや手すりなどが建材メーカー商品として揃っています。選ぶ際には、荷物を持っていても昇降しやすく、安全な形状であるかがポイントでしょう。
小屋裏収納に設けられるケースが多い収納式のはしご。操作性などはショールームで確認したい。[屋根裏はしご] LIXIL
階段下を利用する 変形の空間を上手に活用できるかがポイント
■プランニングのコツ間取りプランにもよりますが、階段下も比較的スペースが確保しやすく、上手に利用することで使いやすい収納になるものです。玄関や廊下周辺であれば、掃除道具や玄関まわりで必要なものなどを整理するのに役立ちますし、リビングに設けた階段の下であれば、日用品のストックなどにも利用できるでしょう。
また、室内側からの利用はもちろん、屋外に扉を設けて屋外用の収納としても。ガーデニングやアウトドア用品などの収納に役立ちます。
階段下のスペースを生かして、スーツケースなどを収納しても。インテリアに合わせた扉を設けて。[ベリティス 開き扉 階段下収納] パナソニック エコソリューションズ
メーカーからは、階段下などでも利用できる扉や変形した空間でも使いやすいラックなどがみられます。空間を有効活用できるように、市販の棚やフックなどで工夫してもいいでしょう。比較的広めのスペースが取れるのであれば、照明器具を取り付けておくと便利です。
壁の厚みを利用する 収納するモノに合わせたプランニングを
■プランニングのコツ建物の構造やプランニングにもよりますが、壁の厚みを利用して、ちょっとした収納スペースを設ける、という方法もあります。玄関ホールなどでは飾り棚を兼ね「みせる収納」としたり、スリッパ収納としたり。階段の手すり壁や廊下の間仕切壁などを利用し、書籍を並べたり、トイレに設けてペーパー類を収納してもいいでしょう。
注意したいのは、すっきりと収まれば美しい収納方法ですが、収納するものによってはインテリアが雑然とした雰囲気になってしまうことも。設置する場所を検討することはもちろんですが、扉を付いたタイプとしてもいいでしょう。壁部分に関わるので、設置を希望する場合は、プランニングの段階で設計担当者に相談することも大切です。
玄関の正面の壁に厚みを利用した見せる収納を。[壁厚収納 カベピタ 飾り棚370L〈クリア〉] DAIKEN
建材メーカーの商品としては、本棚や飾り棚など、見せる収納を兼ねたタイプ、限られたスペースの洗面室やトイレなどに設ける実用的なタイプも。棚だけのユニットや扉のあるタイプなどが揃い、収納物がわかるような半透明のアクリル扉の商品もみられます。
ライフスタイルや持ちモノに適したスペースを
デットスペースになりがちな場所も上手にプランニングすれば、使いやすい収納となりますが、スペースがあるからと言って、やみくもに収納スペースを確保すればいいというものではありません。間取りはもちろん、生活スタイルや家族構成、そしてなによりも持ち物に適した収納とすること。さまざまな収納方法や収納設備商品があることを理解した上で、わが家にとって使いやすいプランニングを検討することが大切です。【関連記事】
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