内装建材/内装建材の基礎知識・選び方

突板(つきいた)の特徴と選び方のポイント

「突板(つきいた)」とは、床材(フローリング)や室内建具(ドアや扉など)、家具などに用いられる木質系の素材のひとつ。新築や家づくりの際には、フローリング選びで検討するケースも多いでしょう。ここでは、「突板」の特徴や選ぶ際の注意点などをまとめました。

岩間 光佐子

執筆者:岩間 光佐子

住まいの設備ガイド

内装建材の木質系の主な素材は、無垢材・突板仕上げ・シート仕上げ

新築やリフォームで用いる内装建材には、木質系の素材が多く取り入れられています。床や室内建具などで用いられる木質系の主な素材には、「無垢材」「突板仕上げ(張り)」「シート仕上げ(張り)」などがあります。

「無垢材」は、切り出した天然木の一枚板を加工したもののこと。樹種によって異なりますが、一般的に保温性や断熱性が高く、調湿作用を持つ素材です。自然素材ならではの質感が大きな魅力ですが、反りや割れなどが生じることも。最近では、耐久性や寸法安定性を高めるため、特殊な加熱処理を施した商品もみられます。

「突板仕上げ」や「シート仕上げ」は、合板などの基材の表面に化粧材(突板やシート)を張り合わせたもの。いずれも、無垢材に比べて、品質や仕上がりが均一で反りも少なく、重量が軽いのが特徴。また、施工性に優れ、価格やデザインバリエーションも豊富なので、取り入れやすい素材と言えるでしょう。

空間にリズムを感じさせる寄木調のデザインの床材。独自の技術により、豊かな照りや木目が際立つ。汚れや傷にも強い。 [アーキスペックフロアー ヨセギ クリアチェリー柄]undefined パナソニック エコソリューションズundefinedhttp://sumai.panasonic.jp/

空間にリズムを感じさせる寄木調のデザインの床材。独自の技術により、豊かな照りや木目が際立つ。汚れや傷にも強い。 [アーキスペックフロアー ヨセギ クリアチェリー柄]  パナソニック エコソリューションズ


「突板」とは、天然木を薄くそいだ板(単板)のこと

そもそも「突板(つきいた)」とは、木材を薄くそいだ板(単板)のこと。「突板」という名称は、強く押して(突いて)削り出していたところから呼ばれているものとか。床材(フローリング)や室内建具(ドアや扉など)といった建材だけでなく、キッチンの扉や家具などの表面化粧材にも用いられているものです。

用いる製品の用途に合わせてスライスされますが、薄くそいだ板は0.3 ~1ミリ程度。薄くそいだものとはいえ天然木を用いるため、自然な深みや味わいを楽しむことができるのが特徴でしょう。

天然木の質感を楽しめる床材。机や椅子による凹みに強く、車椅子でも使用可能。 [銘木床 チェリー]undefined(右)基材〈環境配慮型合板〉+硬質パワーシート+表面材〈突き板〉+クリア塗装。 [銘木床undefined構造]undefined LIXIL undefinedhttp://www.lixil.co.jp/undefined

天然木の質感を楽しめる床材。机や椅子による凹みに強く、車椅子でも使用可能。 [銘木床 チェリー] (右)基材〈環境配慮型合板〉+硬質パワーシート+表面材〈突き板〉+クリア塗装。 [銘木床 構造]  LIXIL  

仕上げ材として基材に貼ったものが「突板仕上げ」

薄くそいだ「突板」を合板(シナ、ナラ、ラワンなど)やMDF(中質繊維板)などの基材に接着し、塗装などで仕上げたものが「突板仕上げ(張り)」。「天然木化粧合板」「突板化粧板」「天然突板仕上げ」「突板張り合板」などと呼ばれることもあります。これがフローリングや扉材になります。基材に接着された「突板」の厚みがあるほど見栄えもよく、木目も鮮やか。表面の塗装によってさまざまな表情を持たせることも可能です。

傷に強く、車椅子も使用できる床材。独自の技術で天然木の豊かな表情を楽しめる。床暖房の仕上げ材にも適する。 [ジョイハードフロアー ナチュラルウッドタイプ ナチュラルスモークオーク色] パナソニック エコソリューションズundefinedhttp://sumai.panasonic.jp/

傷に強く、車椅子も使用できる床材。独自の技術で天然木の豊かな表情を楽しめる。床暖房の仕上げ材にも適する。 [ジョイハードフロアー ナチュラルウッドタイプ ナチュラルスモークオーク色]  パナソニック エコソリューションズ


多種多様な樹種が揃い、銘木を空間に取り入れることも

「突板」に用いる天然木は、杉や檜(ヒノキ)、ウォールナット、チェリー、メープル、チークなどさまざま。色合いや木目の美しい樹木を原料としています。柾目(まさめ)、板目(いため)、杢目(もくめ)があり、同じ樹種でもさまざまな模様となりますし、無垢材では取り入れることが難しい、高価な銘木と呼ばれるような材料でも、「突板」であれば用いることが可能なのも魅力でしょう。

また、木目の美しさを引き立てるために、表面の木目の固い部分だけを浮き立たせるように残す仕上げ(浮造り加工)などを施した商品もみられます。

銘木の美しさと風合いを楽しむことができる床材。艶消しの仕上げも魅力。ワックスがけが不要でお手入れも簡単。 [フォレスナチュラル〈アッシュ(ホワイトベージュ)〉 YF64-81]undefined DAIKEN https://www.daiken.jp/

銘木の美しさと風合いを楽しむことができる床材。艶消しの仕上げも魅力。ワックスがけが不要でお手入れも簡単。 [フォレスナチュラル〈アッシュ(ホワイトベージュ)〉 YF64-81]  DAIKEN

さまざまなタイプが揃うフローリング。豊かな表情が魅力の室内扉

「突仕上げ」のフローリングには、さまざまなタイプがあります。無垢材のように目地に丸みを持たせたり、寄木調にするなど、工夫が施された商品も。耐傷性や耐摩耗性に優れているもの、床暖房に対応したもの、洗面やトイレなどの水まわりにも適するタイプなども揃っています。テクスチェアや光沢などの好み、メンテナンス性などを考慮して選ぶことが大切です。

また、扉材(室内ドア)には、豊かな表情が魅力の商品がみられます。木目や色合いによって、インテリアの印象に大きく影響することもあるので、樹種特有の素材感や表情、手触りなど確認して選ぶことがポイントでしょう。

リビングなどの居室だけでなく、水まわりのリフォームにも取り入れやすい床材。[オーマイティRフロアーA ライト色]undefined パナソニック エコソリューションズundefinedhttp://sumai.panasonic.jp/

リビングなどの居室だけでなく、水まわりのリフォームにも取り入れやすい床材。[オーマイティRフロアーA ライト色]  パナソニック エコソリューションズ 


「突板仕上げ」と見分けがつかない「化粧シート仕上げ」も

最近では、「突板仕上げ」と見分けがつかないような「化粧シート仕上げ」も多くみられます。「化粧シート」とは、樹脂やオレフィン、紙などのシートに、木目や石目などを印刷したもの(プリントシート)。「突板」と同様に、合板やMDFなどの基材の表面に張り合わせ、フローリングや内装建材など幅広く用いられます。印刷技術などの進歩によって、天然木の風合いを表現した商品が多くみられます。

必ずショールームで確認を。色や素材感などをチェックして

床暖房にも使用可能な床材。滑らかな肌触りの艶消し仕上げ。 汚れに強くワックスも不要。[フォレスナチュラル床暖房タイプundefined〈オーク(クリアブラウン)〉YF65-31] undefinedDAIKEN https://www.daiken.jp/

床暖房にも使用可能な床材。滑らかな肌触りの艶消し仕上げ。 汚れに強くワックスも不要。[フォレスナチュラル床暖房タイプ 〈オーク(クリアブラウン)〉YF65-31]  DAIKEN
 

突板といっても、素材感や色合い、木目の風合いはさまざまです。フローリングや扉などを選ぶ際には、カタログだけでなく必ずショールームか見本を取り寄せるなどして、実物で確認することがとても重要。突板の厚みや色による違い、手触りや光沢など、無垢材や化粧シートなどとも比較するなど、価格を含めて検討するようにしましょう。最近では、床材や内装材、室内建具など、トータルコーディネートが可能な商品も出ているので、住まい全体を考慮してプランニングするようにしましょう。


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