今回は設備選びとは少し離れて、パリで見つけた興味深い建築スポットをご紹介しましょう。

屋根付きのオリジナルデザインをみることができるのは、このアベス駅とポルト・ドーフィーヌ駅だけ
パリは、さまざまな場所でアール・ヌーヴォーのデザインを目にすることができる街です。お馴染みはメトロの入口なのでは? 1900年開催のパリ万博時にエクトル・ギマールによってデザインされた入口は、パリの街のいたるところで出会うことができますし、レストランやデパートのステンド・グラスを用いたインテリアは、料理や買い物より興味深く感じるかもしれません。

そのなかでも、高級住宅エリアで有名な16区には、静かにじっくりとアール・ヌーヴォーを堪能できる、建築好きにはたまらない、街歩きのスポットがあります。ルーブルや凱旋門、シャンゼリゼの喧騒から抜け出して、パリを感じることのできる街歩き。かなりオススメです。


中心部から十数分で静かな街並みに

地下鉄5番に乗って、オペラ座周辺から十数分。ジャスマン駅に降り立つと、静かな住宅街に出会うことができる
植物や花をモチーフとし、曲線を用いたデザインが特徴的な、19世紀末に生まれた芸術様式アール・ヌーヴォーの発祥の地はベルギー。その第一人者であるヴィクトル・オルタの建築に刺激を受けて、新しく生まれたデザインをパリに持ち込んだのが、アール・ヌーヴォー建築の巨匠と呼ばれているエクトル・ギマール。そのギマールの作品を中心に、アール・ヌーヴォーのデザインが多く残るのがパッシー地区と呼ばれている16区です。

16区にあるメトロのジャスマン駅は、並木の緑も清々しいモザール通りにあります。モザール通りを南に下るとすぐに、ギマールの住宅兼スタジオである「オテル・ギマール」に出会うことができます。頑張ってもう少し下れば、戸建住宅「オテル・ジャステ」も。石積みの壁、レンガのアーチとざっくりとした感じを覚える住宅です。このあたりは、有名な建物でなくても、窓や手摺のデザイン、暮らす人の息遣いが聞こえるような窓辺の演出をみているだけで、ワクワクしてくるような街並が続きます。

建物を眺め、お気に入りを写真に収めながら歩いていると、高校生らしいグループに遭遇。熱心に説明する先生に引率されて、建築見学の様子。普通の暮らしが営まれる街中で、普通に学習の機会が得られる、そんなことに、なんとなく嬉しくもあり、うらやましくも感じました。

次ページでは、アール・ヌーヴォーのデザインで埋め尽くされた(?)通りをご紹介しましょう。