使いやすく安全な駐車スペースは建物プランと同時に検討を
新築の際には、建物本体のプランばかりに気を取られ、門扉やフェンス、駐車スペースなど、外まわりに関しては後まわしになりがち。しかし、敷地の中で車のためのスペースをどのように配置し、確保するかは、使い勝手や安全性はもちろん、建物の間取りにも大きく関わってくるものです。使いやすい駐車スペースとするには、敷地全体のゾーニング、建物の配置計画と同時にプランニングすることが重要です。屋根材も含めたすべての部材をシャープなアルミ形材で構成。マットな質感が外観や周囲にも馴染む。[LIXILカーポートSC] LIXIL
前面道路や幅、出入りのしやすさを考慮して配置する
駐車スペースを検討する際には、まず、前面道路との位置関係や道路の幅、出入りのしやすさや安全性などを考慮し、敷地のどこにスペースを配するのかを検討すること。同時に、車の台数、車高や幅、長さ、ドアの開閉スペースなど、適する広さを確保することも大切です。また、駐車スペースを直角にとるのか、縦列とするのかなど、出入口の間口サイズや車の回転半径を考えて検討するようにしましょう。将来を含めて検討を。来訪者の有無も考慮して
プランニングの際には、現在所有の車や台数だけでなく、将来の買い替え、追加購入なども含めて考慮しておきたいもの。買い替えや購入の予定があれば、希望する車のサイズなどもチェックしておくようにしましょう。また、お客様が多いようであれば、来客用スペースも確保しておくことも必要かもしれません。駐車可能かどうかなど、前面道路の状況、近隣の駐車場の有無など、事前に確認した上でプランニングするようにしましょう。
雨の日でも使いやすいプランを。直線的なフォルムがモダンな印象のカーポート。 [アーキフラン] LIXIL
玄関アプローチを兼ねる場合などはスペースにゆとりを
駐車スペースだけでなく、自転車やバイクも置く場合、玄関アプローチも兼ねる場合などは、そのスペースを含め、ゆとりある空間を確保したいもの。家族に幼い子供がいる場合は、ベビーカーなどの出し入れがしやすいスペースを、高齢の方がいらっしゃる場合には、車椅子に乗り降りしやすい空間が必要かもしれません。また、日々の暮らしの中で、使いやすい駐車スペースとするためには、動線計画も充分に検討すること。通勤や送り迎えに使用するのであれば、玄関との行き来がしやすいような場所がいいでしょうし、買い物で多く使うのであれば、勝手口やサービスヤードの近くに設けても。雨の日に濡れずにすむような配慮も必要でしょう。
駐車スペースプランの種類と特徴
一般的な住宅の場合の駐車スペースのプランには、いくつかの種類があります。それぞれに特徴があるので、使い勝手や敷地条件、予算などを合わせて検討することが大切です。■駐車するスペースのみ確保するプラン コンクリートやレンガなどの床面に
道路との境界にゲートを設けることで、防犯性を高めて。駐車スペースの広さに合わせて選ぶことができる伸縮タイプのゲート。 [伸縮ゲート レイオス 1型(太桟) 片開き:H12-30S B7] YKK AP
■ガレージ(車庫)を設けるプラン 独立タイプとビルトインタイプがある
ガレージ(車庫)とは、自動車を格納するため建築物のこと。雨や風、ほこりなどに車をさらすことがないので、良好な状態で車を維持したい、また、防犯面を重視したい場合などに向いています。
敷地に余裕があれば、独立したガレージをプランニングすることも可能ですが、都市部の住宅などでは、建物に組み込んだり一部を利用したりするケースも。たとえば、狭小敷地の3階建ての住宅などにみられるのが、地上(1階部分)に駐車スペースを設け、その上に建物(居室)があるようなプラン。壁などを設けずオープンなプランはピロティタイプ、シャッターやドアを設置したクローズドタイプは、ビルトイン(インナー)ガレージと呼ばれています。敷地が道路より高い場合などは、道路面に合わせて、地下室のようにガレージが設けられているプランもあるでしょう。
ガレージ内に風と光を取り入れることができる、換気孔付スラット仕様も。ナチュラルな雰囲気の木目調のタイプも揃う。 [ガレージシャッタークワトロ(電動/手動)] LIXIL
車を趣味とする人などの場合は、駐車するためだけでなく、工具などを収納できるような空間としたり、リビングや 書斎など住まいの中からも車を楽しめるようなビルトインガレージとする例もみられます。このような住まいのことをガレージハウスと呼ぶこともあるようです。
■カーポートを設けるプラン 豊富な商品バリエーションを揃う
車のスペースに上屋を設ける(カーポートを設置する)タイプは、メーカー商品のバリエーションも豊富なので、新築でもリフォームでも取り入れやすいスタイルと言えるでしょう。もちろん、既成品だけでなく、オリジナルで造作することも可能。建物本体のデザインや素材に合わせて、プランニングするのも個性的です。
エクステリアメーカー商品としてのカーポートのスタイルには、屋根の支持の仕方の違いによって、片側支持(片流れ)タイプと両側支持タイプなどがあります。屋根材は、ポリカーボネートやFRP、スチール折板など。多くみられるのはポリカーボネートで、熱線吸収(遮断)機能の持つタイプなどもあります。選ぶ際には、デザインや性能、価格だけでなく、設置する地域特性に合わせた商品を取り入れることが基本。雪の多いエリアでは耐積雪強度のあるタイプを、台風や強風などが多い地域には、耐風圧性能の高い商品を設置することが重要です。
すっきりとしたフラットなデザインのカーポート。さまざまな敷地条件、環境に対応可能なシリーズ。[エフルージュシリーズ スクリーンパネル・軒天パネル] YKK AP
防犯面を考慮するならゲートやシャッターを
周辺環境などにもよりますが、駐車スペースにもある程度の防犯性を確保しておきたいもの。センサー付きの照明などを設置したり、出入り口にカーゲートを設けておくことも考えられるでしょう。カーゲートには、シャッターや跳ね上げタイプ、引き戸タイプ、伸縮・折れ戸(折りたたみ戸)タイプ、伸縮・アコーディオンタイプ、車止め(ポールゲート・チェーンポール)などがあります。それぞれに特徴があるので、敷地のプランや使い勝手、防犯性やデザイン性などを考慮して選ぶこと。防犯面を考えれば、境界線を示す程度の車止めよりは、跳ね上げタイプや伸縮タイプ、少し低めの高さの引き戸タイプなどの方がいいでしょう。進入防止が目的であれば、シャッターや高さのある折れ戸タイプなどが適しています。
エクステリア全体で検討を。ショールームを活用して
門扉やアーチ、カーポートなどを揃えたシリーズ。エントランスの一体感を実現できる。[エクスティアラシリーズ] YKK AP
住まいづくりの中で、駐車スペースのプランニングは、現実的には設計担当者(エクステリア工事施工担当者)などからの提案を確認し、進めていくことになるでしょう。日々の暮らしの中で、誰が、いつ、どのように車を使用するのか、わが家の日常をイメージしながら、使いやすさなどを検討すること。カーポートなどの商品を選ぶ際には、ショールームなどで、できる限り実物を確認することも大切です。最近では、ホームセンターなどで取り扱っているケースもあるので、日頃からチェックしておくといいでしょう。
【関連記事】
- スタイル、屋根材etc. カーポートの種類と特徴
- サイズ、性能etc. カーポート選びの7つのポイント
- カーゲートの種類と特徴、選び方の5つのポイント
- 駐車スペース・カーポートにあると便利な設備&建材
- 忘れがちな自転車スペース プランの種類と考え方
- 玄関アプローチの考え方とプランニングのポイント
- エクステリア(外構)プランの考え方、7つのポイント
- エクステリア空間に必要な建材商品の種類と特徴
- オープン外構とクローズド外構のメリット・デメリット
- 機能門柱の種類と特徴&選び方のポイント
- フェンスの種類と特徴、選び方のポイント
- 表札の種類と特徴&設置プランの考え方
- ポストの種類と特徴&選び方のポイント
- 玄関まわり&エクステリア建材のショールーム活用法
- 築6年 建築家と建てた小さな家の小さな変化と住み心地