住宅設備・建材の選び方/住宅設備・建材選び

狭小敷地でも居心地のよい暮らしを実現する建材とは

狭い敷地に建つ住まいでも、快適な暮らしを実現するためには、間取りの工夫はもちろん、設備や建材選びも重要なポイント。ここでは、狭小地の住まいづくりに役立つ住宅建材をピックアップしました。

岩間 光佐子

執筆者:岩間 光佐子

住まいの設備ガイド

都市部を中心に、狭小敷地に建つ住宅も多くみられます。厳しい敷地条件の中でも、快適な暮らしを実現するためには、間取りの工夫はもちろん、設備や建材選びも重要なポイントでしょう。ここでは、限られたスペースでの住まいづくりのヒント、役立つ住宅建材などをピックアップしました。

[写真協力]  LIXIL

光や風を上手に取り入れ、心地よい空間に

プライバシーや防犯性に配慮しながら光を取り入れるスリットタイプの窓。[エルスターX]

プライバシーや防犯性に配慮しながら光を取り入れるスリットタイプの窓。 [エルスターX]

光があふれ風通しのよい住まいは心地のよいもの。敷地の大小にかかわらず、快適な住まいを実現するためには、採光と通風に考慮することはとても重要なポイントです。特に狭小敷地の場合、隣家が迫っていたり、四方囲まれるなど密集しているケースも多いので、光や風の通り道に十分配慮してプランニングすることは基本でしょう。

たとえば、中庭や吹き抜けを設けて、光や風を取り込んだり、2階にリビングを配して暮らしの中心となるスペースの明るさを確保するなどのプランも考えられます。トップライト(天窓)を用いたり、小窓や細長い窓などを設けてもいいでしょう。また、風を取り込むことのできるタイプの玄関扉や勝手口扉、窓シャッターなどを利用しても。プライバシーや防犯を考慮しつつ、出来る限り、光を取り込み、風の流れるようなプランニングにすることが大切です。

開放的でシンプルな空間づくりを

限られたスペースの場合、細かく仕切らず、できるだけシンプルな空間とした方が広がりを感じるものです。LDKをワンルームとしたり、バスルームと洗面、トイレをひとつの空間としたり。デッキやベランダをリビングに連続させるなどして、屋外空間を取り込み広がりを確保してもいいでしょう。また、吹き抜けやリビング階段を設けたプランなど、平面だけでなく立体的にも連続性のある空間づくりをすることで、開放感を得ることも可能です。

最近では、LDKをひとつの空間とするプランは多くみられ、キッチンが中心となるようなケースも。家具のようなデザインのシステムキッチン、キッチンや内装建材をトータルコーディネートできる商品なども提案され、上手に組み合わせることで空間に統一感も生まれるでしょう。

その他、蹴上げのないスタイルの階段であれば、視線はもちろん光や風を通すので開放的な空間となりますし、スペースをとらない螺旋階段などの商品提案もみられます。安全性や使い勝手はもちろんのこと、空間全体のバランスを考慮して選ぶことが大切です。

空間を有効利用できる、引戸や可動間仕切り

壁のような印象で空間に調和する天井までの高さを持つ引戸。[グランドライン ラフィス]

壁のような印象で空間に調和する天井までの高さを持つ引戸。[グランドライン ラフィス]

空間を仕切らずに広々としたプランとしても、個室やサニタリーなどには扉が必要でしょう。限られた空間で扉を設ける場合は、ドア(開き戸)よりも引戸がおすすめ。開閉スペースをとらないので、空間を有効に利用することも。最近では、商品バリエーションも増え、多様なインテリアデザインに合わせることが可能です。

また、普段はひとつの空間として利用しても、お客様がいらしたときなどに分けて使いたい場合は、可動間仕切り扉を設置しておくのもひとつの方法。引戸タイプで壁と一体化するようなものや透過性のある素材を用いて緩やかに仕切ることができるタイプを選べば、圧迫感も少なくなるでしょう。扉や間仕切りのいずれも、天井までの高さのあるタイプを用いれば、より空間がすっきりとまとまるでしょう。

収納はデッドスペースを上手に利用して

間取りを検討する際は、多くの収納スペースを確保したいと誰もが望むものですが、狭小敷地でのプランでは、なかなか難しい場合も。平面スペースに充分なスペースを確保できない場合は、小屋裏やロフト、階段下や床下などのデットスペースを活用し、収納スペースとしてもいいでしょう。また、工法や構造にもよりますが、壁厚を利用して書籍やスリッパ収納、飾り棚とする方法も。メーカーからは、上り下りしやすい小屋裏やロフトへの階段、床下や畳下の収納ユニット、壁に埋め込む収納パーツなどの商品の提案がみられます。

玄関扉や門扉も引戸タイプに

モダンな外観にもしっくり馴染むデザインの玄関引戸。[エルムーブ16型]

モダンな外観にもしっくり馴染むデザインの玄関引戸。[エルムーブ16型]

狭小敷地の場合、玄関扉を開けるとすぐに前面道路となってしまうケースも多くみられ、玄関扉や門扉などのプランニングも難しいものです。スペース的にゆとりがない場合、玄関扉や門扉には、引戸タイプが向いているでしょう。以前は、和のイメージが強かった玄関引戸ですが、最近ではデザインバリエーションも豊富になり、モダンなデザインの外観にもコーディネートしやすい商品も多くみられます。門扉にも引戸タイプのものが増えてきているので、敷地条件に合わせてプランニングすることが可能でしょう。

その他、最近は、照明や表札、ポストなどをひとつにまとめた機能門柱を設けるケースも多くみられます。スペースを取らずに門まわりに必要な機能が集約されているので使いやすいのが魅力でしょう。

さまざまな制約のある狭小敷地でのプランニング。間取りプランを進めるのと同時に、設備や建材もトータルに検討することで、厳しい条件の中でも、快適さを実現することができるのではないでしょうか。


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