建物を建てる場合は、1階の床の高さは、法律上敷地の地盤より一般に45センチメートル以上は高くなります。必然的に玄関には上りかまちがあり、玄関ポーチと地盤にも段差があるのが一般的なすまいです。
バリアフリーなすまいを計画する場合は、この段差が大きな障害になるわけです。
水はけが悪く大雨での浸水の危険がある地域では、1階の床高は高くとったりしますが、その心配が無い場合は、床下の防湿対策を施して1階の床高を小さくしておいた方がバリアフリーにとっては都合が良いのです。
玄関までは階段かスロープがよいのですが、スロープにするのであればスロープの勾配は1/12以下が望ましいです。つまり、仮に10センチメートルの段差を解消するには1.2メートルの長さのスロープが必要になります。スロープはカーブを作ると、車椅子の利用が難しくなるので、直線とします。折り返しを作る場合は、フラット面で折り返しをするように計画して下さい。万一何かあった場合は、段差解消昇降機を設置する方法もあります。その場合、電源が必要となりますので玄関まわりの外部にコンセントを設けておくと良いでしょう。
住宅の玄関扉部分には下枠が付くのが一般的です。その場合、内側と外側の段差を5センチメートル位つけるのですが、納まりを工夫して2センチメートル以下にすることです。玄関ポーチを建物内に引き込ませ、入口を深くさせたり雨水の浸入を最小限にして、下枠をフラットにする方法もあります。
門と玄関と駐車場は緊密な関係が必要ですが、スペースに余裕がないと将来の対応が困難になります。遠すぎず、近すぎず、小さすぎず、最適な大きさの検討を充分にするエリアでもあります。又、夜間は足元灯などにより、足元の明るさを確保する必要があります。近づくと自動点灯して、しばらくすると消灯するセンサーとスイッチの併用も考えておくと便利かもしれません。
アプローチ周辺は上下のバリアフリーだけでなく、視覚的なバリアフリーも安心なすまいづくりには欠かせません。計画段階で考慮しておくと良いでしょう。
○玄関の段差を無くす工夫
通常は扉の下枠部分に50ミリ程度の段差がある。車イスの場合は20ミリ以下にしたい。扉の下枠の段差をなくすかわりにポーチを深くすると、風雨に対しても有効。