施主は家づくりの協力者へ施す心を忘れないからこそ施主
また現在の家づくりは条件闘争の上に成り立っているともいえます。土地にも間取りにも空間にも相互に緩衝するところがなく、各々がぎりぎりの中に隣り合わせている状況です。いわば「のりしろ」がないのです。よりよい家づくりには建て主が施主になることによってのりしろができます。そして家づくりの儀式や家のプランにおいて地域社会に貢献できる家ができていくのです。その上で豊かなコミュニケーションが欠かせません。上棟祭のいわれ
吹流しと矢車
山から切り出した木で家を建てると「山の神さま」までついてくるから、神さまが好物の餅をまいて家から出でいってもらう説、家を新築した年には、何らかの厄がその家にもたらされるという言い伝えがあり、その厄を近隣の人やたくさんの人に分けて持ち帰ってもらう説などなど餅まきは地方により習慣が少し違うところもありますが、始めに「かかもち」といって、玄関前に建主の奥様がその餅を箕(み)で受ける儀式があり、そのあと建物全体の平安を祈願して、四方から隅餅(すみもち)を撒きます。隅餅はその家の跡継ぎが、次に家を建てるようになることを願って拾う習慣が残っているところもあります。そのあと、あつまった人めがけて威勢良く撒かれることになります。餅と一緒にお菓子やお金を振舞うこともあります。
住まいの本質は家族への絆を深めること
地鎮祭は家族の安泰と幸福を願って行われます。家とは家族の人生のよりどころであり、同時に地域社会と共有する心の資産でもあります。家づくりが工業化される頃からそういった精神性が見失われ、便利さだけの追求となってしまいました。住宅には何かしら存在感のある精神性を高める空間が必要なのです。その一つにかつては床の間がありました。住宅のデザインは単に形のおもしろさを追及するのではなく、家族が共有する空間をつくることで絆を深めていくことができるのです。
スキップフロアや吹抜けといった手法の採用だけではいい家は生まれません。家族の望みや空気の流れ、採光、快適性、他の部屋や構造とのとりあいなど、種種の要素をうまく織り成してこそ一つの手法が活きてくるのです。したがって家づくりとは重層的な作業になります。いくつもの想いや形を結びつけることで空間は生き、そして初めて空間に厚みがでて人が生き生きと過ごせるのです。
人間が生みだすのは愛ですが、愛を育てる場は住まいなのです。住まいが人間をつくる、ここに住まいの本質があります。
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