「国土の総合的計画的な利用を図り、地価の安定を図ること」を目的として、昭和49年に施行されたのが国土利用計画法(通称、国土法)です。
バブルで地価が高騰していたときには、国土法による「監視区域」の規定にもとづき、100平方メートル以上(自治体により異なる)の土地取引をする前に届出が必要でした。
その当時は、一般の住宅地(土地や一戸建て住宅)でも敷地面積が100平方メートル以上であれば、事前に役所の管轄部署へ届出(当事者の氏名・取引金額・利用目的など)をして、それに対し「不勧告通知」を受けた後でなければ、売買契約を締結することができなかったのです。
届出をした価格などが不適切だとして「勧告通知」を受けたときは、契約を中止することになります。また、マンションなどで土地持分が100平方メートルを超える場合も同様でした。
バブルが崩壊したことで、その後は「監視区域」の指定が解除されて国土法の原則へ戻るとともに、平成10年の改正で事後届出制に移行しています。
現在、一般消費者が国土法のことを意識する必要はほとんどありませんが、いったいどのような規定なのか、そのあらましを知っておきましょう。
国土法による届出が必要な面積
□ 都市計画区域のうち市街化区域内……2,000平方メートル以上□ その他の都市計画区域……5,000平方メートル以上
□ 都市計画区域以外の区域……10,000平方メートル以上
これらの規制対象面積を超える土地の取引をしたときには、当事者のうち「権利取得者」が、契約締結後2週間以内に都道府県知事へ届出をしなければなりません。
注視区域または監視区域に指定された場合には?
国土法にもとづく「注視区域」または「監視区域」の指定により、届出の必要な土地面積が定められます(100平方メートル以上、200平方メートル以上など)。また、この場合は「事前届出制」となり、都道府県知事へ届出をして6週間を経過するかもしくは「不勧告通知」を受けるまで、売買契約など(予約契約を含む)をすることができません。
規制区域に指定された場合には?
バブルのときですら「規制区域」の指定はありませんでしたから、今後の情勢でこれが指定される可能性は極めて低いでしょう。万一この指定を受けると、土地面積のいかんに関わらず契約前に都道府県知事の許可が必要となります。無許可の取引は効力が生じないばかりでなく、所有権の移転登記などもできません。
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