今回は、不動産業者が紹介する銀行の住宅ローンを、言われるままに利用するのが良いのかどうか、ということについてご質問をいただきました。
(東京都江戸川区 匿名希望 30代 男性)
いま、ほとんどの民間金融機関は住宅ローンの貸し出しに積極的であり、低金利の住宅ローン商品も豊富です。その一方で、よく「貸出競争」といわれる場合もありますが、その実体は「優良顧客の獲得競争」です。
ご質問の住宅ローンが、どの銀行とどの銀行の比較なのか、あるいはあなたの条件がどうなのか分かりませんので断定はできませんが、もしあなたが東証一部上場で業績も良い大手企業に勤めているか、あるいは公務員で、勤続年数もそこそこ長くて収入も安定し、これから借りようとする住宅ローン以外には一切の借り入れがなく、クレジットカードは1~2種類程度しか持っておらず、そして年収に対する住宅ローン借り入れ額の倍率が低い(購入価格が安いか、自己資金割合が高い)のであれば、どの民間金融機関でも思いどおりに貸してくれることでしょう。
しかし、必ずしも正比例するわけではありませんが、一般的には条件の良い住宅ローン(金融機関にとっては利幅が少ない)ほど審査内容は厳しく、金利が高いなど条件が悪くなるほど審査が甘くなります。
つまり、金融機関にとって利幅の少ない商品であればあるほど、その貸倒れリスクも低く抑えなければならないわけです。
住宅ローンの審査基準や内容などは金融機関ごとに異なる
そこで、さまざまな事例を積み重ねたり、話を聞き出したりして推測するしかない部分も多いのが実情です。
たとえば、変動金利ローンの返済比率をみる際、外部に対しては年収の20%あるいは25%といった基準を示していても、現時点での金利ではなく、将来的に上昇した金利を想定(金融機関により異なる)して、その金利に置き換えた返済額を基に判断するようです。
また、他の借り入れがあればその返済額を加算するほか、クレジットカードにキャッシュローンの枠があれば、たとえ現在は借り入れがなくても、枠の全額分の借り入れをしたと仮定した場合の返済能力をみるところもあるようです。同様にリボ払いの枠などが不利になるケースもあるでしょう。
これらの借り入れ枠については、現在の借り入れがなければ大丈夫なところ、現在は借り入れがなくても過去に借り入れ経験があると不利なところ、枠の存在そのものが不利なところなど、その判断基準は金融機関により大きく異なるようです。
住宅ローンの契約に際して、提携のクレジットカード加入を勧める金融機関もあるなど、話は複雑ですが……。
車のローンや学資ローン、銀行のカードローンなどについても話は同じです。また、公共料金などの自動引落とし口座に、残高不足の場合の貸越し機能が付いている場合、その機能が1円でも働いたときに限度枠一杯の借り入れがあったとみなすような金融機関もあるようです。
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