不動産売買の法律・制度/不動産売買の法制度

不動産取引における個人情報保護法の適用(2ページ目)

個人情報保護法が平成17年4月1日より全面施行されていますが、他の業界では適用規模に満たないような中小業者でも、不動産業者はほぼすべてが適用対象とされています。不動産業界における特殊事情と、消費者に求められる対応を知っておきましょう。(2015年改訂版、初出:2005年4月)

執筆者:平野 雅之


不動産業者はどう対応している?

個人情報保護方針の公表文書

少なくとも個人情報保護方針を公表しなければならない

個々の不動産業者では、個人情報保護法に基づく最低限の対応として、個人情報保護方針(プライバシーポリシー)を記載した書面を事務所・店舗やモデルルームなどの、お客様から見やすいところへ掲示したり、各社のWEBサイト上に掲載したりしています(個人情報保護方針の公表)。

しかし、お客様カードに記入していただいたり、買付証明書重要事項説明書・売買契約書・媒介契約書・住宅ローンの申込書などに住所・氏名などを書いていただいたりするのが、常に不動産業者の店舗や事務所などとは限りません。

また、その都度「ホームページを見てください」ともいえませんので、公表文書を補完するものとして同様の文書をお客様にお渡しするケースも多いでしょう(個人情報保護方針の通知)。

さらに、一歩進んだ対応として、不動産業者によっては通知文書へお客様の署名・押印(個人情報保護方針の説明を受けたことの確認)を求めるケースもあります。

複数の不動産業者を訪ねるときには、同じ説明を繰り返されることにもなりますが、面倒がらずに説明を受けるようにしてください。なかには個人情報の第三者提供における相手先として、とんでもないところを列挙してある場合もあり得るのです。


個人情報はユーザーがコントロールする!

個人情報保護法では、いったん提供したお客様自身の個人情報に関して、事業者へ開示の請求、訂正の請求、利用停止の請求、抹消の請求などができることになっています。

ただし、不動産業者の場合には取引成立台帳など宅地建物取引業法で保管が義務付けられた書類や成約情報の登録義務などもあり、これら他の法令によって抹消請求には応じられない個人情報も存在します。

複数の不動産業者に依頼した後、そのうちの一社で契約に至れば、他の不動産業者に対してはすべての個人情報を抹消するよう依頼することができるでしょう。

また、個人情報の第三者提供(物件の広告なども含む)の停止を要求すること(オプトアウト)もできます。個人情報を提供した相手方とは違うところから、急にダイレクトメールや電話による営業が増えたりすれば、早急にオプトアウトの依頼を検討しなければなりません。

金庫のイラスト

個人情報保護法があっても、情報の流出が完全に防げるわけではない

なお、これまでに大量の個人情報を流出させた大企業の約7割が「個人情報保護のために、管理責任者の配置など流出の防止策を講じていた」(国民生活センター調べ)というデータもあるようです。

個人情報保護法が適用されているからといって、あるいはそれに基づいて個人情報の管理体制が作られているからといって、個人情報の流出を完全に防げるものではないのです。

企業などが保有したままになる個人情報は必要最小限に留めるよう、ユーザー自身の意識を高めることも必要でしょう。


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