住みたい街 首都圏/キケンな街の見分け方

東京でいちばんあぶない町!

いつか必ずやって来るといわれる大地震に備え、住宅を購入するときは震災対策を考える絶好の機会にもなります。危険と判定された地域の事例を参考にして、自分が住む地域の特性を十分に理解することも重要ですね。

執筆者:平野 雅之


〔住宅購入は震災対策の絶好の機会〕

みなさんは日本でどのくらいの地震が起きていると思いますか? 気象庁の統計によれば、平成16年4月から平成17年3月までの1年間に、日本およびその周辺で起きたマグニチュード3.0以上の地震は6,507回、震度1以上の有感地震は2,566回に達しています。このなかには新潟県中越地震や福岡県西方沖地震などの余震も含まれていますが、例年に比べて特別に多かったわけではなく、日本中のいたるところで毎日のように地震が発生しています。

地震今後30年以内の発生確率は、首都直下地震が70%程度、東海地震が86%、東南海地震が60%程度、南海地震が50%程度とされている。東海地震、東南海・南海地震など、大規模な被害が想定される地震がいつ起きてもおかしくないといわれ続けるなかで、昨年12月には政府・中央防災会議により首都直下地震の被害想定も公表されました。震源の位置、規模、発生時間や気象条件などにより被害規模は異なるものの、最悪の場合には死者が約1万3千人、全壊や焼失する建物が85万棟、自力脱出困難者が4万3千人、正午発生の場合の帰宅困難者は650万人に達するものとされています。

その一方で、東京都都市整備局からはそれぞれの町の危険度を調査した結果 (第5回地域危険度測定調査結果) が公表されていることをご存知でしょうか? これは東京都内 (区部および多摩地域) の都市計画区域にある5,073の町丁目について、建物倒壊危険度、火災危険度、避難危険度を調査して相対的にランク評価したもの。さらに各危険度について1位 (ワースト1) から5,073位までの順位が付けられています。

この地域危険度測定調査結果は平成14年12月に公表されたものですが、具体的な町名を挙げて積極的にご紹介することには若干の躊躇もありました。しかし、いつか必ずやってくる大地震に備えて日頃から意識をし、居住地域の特性を理解したうえで十分な対策を練ることが重要であり、住宅を購入するときは防災面について見直し、有効な措置を講じる絶好の機会にもなります。また、阪神大震災から10年を経た今春、このランキングがテレビでも大きく取り上げられていましたので、実際にご覧になったかたも多いことでしょう。

今回、それぞれの危険度についてワースト1となった町をご紹介しますが、誤解してならないのは、その町のすべてが悪いということではなく、スポット的に見ればさらに危険な場所や建物が都内いたるところに存在すること。さらに重要なのは行政や地域住民による減災への取組みであり、事実、過去のワースト上位から地域住民の活動によって危険度を大幅に下げることのできた町もあるようです。ここでご紹介する地域も、調査時 (平成11年度~12年度頃) から数年を経て、既にワースト1を脱しているのかもしれません。

また、今回は東京の資料をご紹介しますが、同様に危険情報を公開する道府県は今後も増えることでしょう。ワースト地域として名指しされると、とくにその地域にお住まいのかたにとってはネガティブなイメージとして受け取られるでしょうが、地域住民による積極的な防災への取組みのきっかけとして、あるいは迅速な改善や助成・支援を行政側に要求する拠りどころとしても活用したいものです。



page1 ≪前書き≫
page2 ≪総合危険度/建物倒壊危険度
page3 ≪火災危険度/避難危険度
page4 ≪犯罪危険度



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