購入しようとする土地や一戸建て住宅の敷地に、隣家の屋根などが越境していることは意外と多いものです。
(群馬県前橋市 匿名 40代 女性)
現代のように境界線が意識されない時代に建てられたものや、以前は借地だった物件、建築当時における境界線の認識が双方とも間違っていた場合、さらにはお互いに越境し合っている建物などもあります。
古い住宅密集地では、お互いに越境し合っていることも珍しくない
しかし、越境しているからといって一方的に隣家の屋根などを切除することはできません。
法的な解決をするためには裁判所へ訴訟を起こし、判決に基づく強制執行をすることになりますが、そうすれば隣人関係は気まずいものになり、安らげない日々を送る「苦痛の住まい」にもなりかねないでしょう。
それでは、現実のところどうするのが一番よいのでしょうか。
購入しようとする敷地に隣地からの越境などが疑われるとき、まず最初に重要なのは敷地境界を明確にすることであり、境界が明らかにならなければ次の段階へ進むことはできません。
この場合、すべての敷地の境界ポイントに杭や鋲などの境界標識があり、なおかつ、敷地が接するすべての隣地所有者など(道路や公園などの公有地と接していればその管理者も含む)の立会印が押された「確定測量図」があれば最もよいのですが、実際にはそのような図面がなく、境界標識があっても一部だけというケースが多いものです。
境界が明確でないときには既存のブロック塀やフェンスなどが境界線として有効かというと、これはあまり役立たないのが実情でしょう。
ブロック塀などの全体が、初めからどちらかの敷地へ一方的に入り込んでいることも多いうえ、隣地と共同で境界線上に立てたはずのブロック塀が、よく調べてみたら境界線から少しずれていたなどという例もあります。
そのため、隣家の一部がこちらに越境しているのだと認識していたのに、境界をしっかり調べ直してみたら実はこちらの建物が隣地に越境していた、などということも考えられる話です。
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