都市の土地利用には一定のルールが不可欠
また、国や自治体は国民が「健康で文化的な都市生活や機能的な都市活動」を確保できるように、都市をしっかりと整備していかなければなりません。
そこで「都市の健全な発展と秩序ある整備を図り、もって国土の均衡ある発展と公共の福祉の増進に寄与すること」を目的(第1条)として定められているのが都市計画法(昭和43年6月15日法律第100号)です。
都市計画法による都市計画は「まちづくりの基本計画」であり、建築基準法や宅地造成等規制法をはじめとする他の土地関連法の中心として位置付けられています。今回はこの都市計画法について、基本的な内容をみていくことにしましょう。
都市計画の対象区域
一定の要件に該当する市街地を含み、「一体の都市として総合的に整備し、開発し、及び保全する必要がある区域」を「都市計画区域」として、都道府県が指定します。都市計画区域の範囲は必ずしも市町村の区域とは一致せず、複数の市町村にまたがる都市計画区域があるほか、一つの市町村が異なる都市計画区域に分かれている場合もあります。
また、国土交通大臣は2以上の都府県にまたがる都市計画区域を指定できることになっていますが、現在、そのような指定はないようです。
原則として人口が1万人未満の町村、半数以上の人が農業や漁業などに従事する町村などでは都市計画区域の指定がされません。
また、2015年3月31日現在で都市計画区域に指定されているのは、国土面積全体の約27%にあたる1,019.11万haですが、全人口の95%近くがこの都市計画区域内に住んでいます。
市街化区域と市街化調整区域の線引き
都市計画区域は必要に応じて「市街化区域」と「市街化調整区域」に区分され、これを通常「線引き」と呼びます。首都圏整備法・近畿圏整備法・中部圏開発整備法による既成市街地など(既成市街地・既成都市区域・都市整備区域・近郊整備地帯・近郊整備区域)、および大都市に係る都市計画区域として政令で定めるものについては「線引き」が義務付けられています。
その他の都市計画区域で「線引き」をするかどうかは都道府県の選択に委ねられているため、これがされていない区域も少なくありません。
ちなみに、東京23区では主要河川の河川敷を除いて全域が市街化区域に指定されています。しかし、全体からみれば東京23区は特殊な例であり、たとえば横浜市では市全域の約4分の1が市街化調整区域となっています。
全国の合計では、「線引き」された都市計画区域のうち「市街化区域」が約27.5%、「市街化調整区域」が約72.5%です。
また、「市街化区域」と「市街化調整区域」に区分されていない都市計画区域のことを「非線引き都市計画区域」といいます。この「非線引き」は意外と多く、都市計画区域全体の約48.3%を占めています。
なお、改正都市計画法(2001年5月18日施行)以前は「未線引き都市計画区域」と呼ばれていましたが、以後は「非線引き都市計画区域」とされています。
準都市計画区域とは?
都市計画区域 “外” で市街化が進行中、またはこれから市街化が進行することが見込まれ、そのまま放置すれば将来的に支障が生じるおそれのある一定の区域では、あらかじめ土地利用を規制する目的で「準都市計画区域」の指定がされる場合もあります。これは2000年の都市計画法改正により新たに導入された規定であり、「準都市計画区域」の指定がされているのは2005年7月時点で3区域にとどまっていましたが、2015年3月31日時点は45区域で、九州での指定が多くなっています。
都市計画区域と建築確認の関係
「都市計画区域」または「準都市計画区域」に指定された区域内(および都道府県知事が指定する区域内)において建築物を建築しようとするときには、その規模に関係なく、あらかじめ建築主事(または指定確認検査機関)による建築確認を受けなければなりません。都市計画区域外で一定規模以上の建築物を建築しようとするときには、同様に建築確認が必要です。しかし、一般的な木造2階建て住宅などであれば建築確認は不要となります。
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