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電柱や電線が「ある街」と「ない街」の資産価値(2ページ目)

都市の無電柱化が少しずつ進み、電柱や電線が「ない街」も徐々に現れてきています。これが住宅地の資産価値にどのような影響を及ぼすのでしょうか? 将来的な変化を考えてみました。(2015年改訂版、初出:2007年10月)

執筆者:平野 雅之


人々の意識も次第に変わる

無電柱化された街並み

将来的には無電柱化された街並みが増えていく

無電柱化された街並みの住宅地が、大都市圏にかぎらず地方都市などでも徐々に現れてきています。しかし、いまの時点では全体のなかでごく少数派でしょう。

電柱や電線が「ない街」に優位性があるとはいっても、それが原因で電柱や電線が「ある街」の資産価値にそれほど影響を及ぼすわけではありません。

ところが、これから先の十数年あるいは数十年のうちに無電柱化が大きく進んだ場合にはどうなるでしょうか。

私自身を含め、無電柱化された分譲地をいくつか見てきている不動産業者の話を聞くと、これまで気にならなかった既存の街並みが「汚く見えてしょうがない」というのがおおよそ共通した意見です。

不動産業者ではなくても、無電柱化された街並みをあちこちで見かけるようになれば、おそらく同様の意識を持つ人が多くなることは容易に想像できるでしょう。


意外と早い? 電柱や電線が「ある街」の資産価値の低下

多くの人は希望エリアをある程度まで絞り込んでから住宅探しを始めることでしょう。いくら電柱や電線が「ない街」の景観が優れているといっても、それを選ぶことのできない立場の人が圧倒的に多いはずです。

しかし、住宅地での無電柱化が進み、電柱や電線が「ある街」と「ない街」で物件の比較検討、選択のできる人が増えればそれも変わります。電柱や電線が「ない街」の希少性は薄れる代わりに、電柱や電線が「ある街」の物件はなかなか売りづらくなることも十分にあり得ます。

住宅の資産価値を換金性、流動性の面に絞って考えたとき、電柱や電線が「ある街」の資産価値がいずれ相対的に低下することは免れないでしょう。

一つの都市全体で無電柱化が完了するまでにはかなり長い年月が必要です。しかし、過半数とまではいかなくても、おそらく近接エリア内で3割から4割程度の無電柱化が進めば、電柱や電線が「ある街」の資産価値に対する影響が出始めるのではないかと感じられます。

無電柱化が大きく進むのは遠い将来のことでしょうが、電柱や電線が「ある街」における資産価値の低下は意外と早く訪れるかもしれません。


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