ここ数年は若者の車離れなどが進み、都市部では車を所有しない世帯も増えているようですが、新居を購入して落ち着いたら次は自動車、という人も多いでしょう。
ところが、十分な車庫サイズがないために自分が乗りたい車を買うことができなかったり、使い勝手が悪かったりすることも少なくありません。
とくに、都心部に近いエリアの建売住宅などの場合には、「車庫付」あるいは「カーポート付」となっていても、一般的なものより小さめのスペースしかないこともあります。
それでは、自動車の車庫として実際にどれくらいの広さが必要なのかを考えてみましょう。
必要最低限の車庫サイズは?
ゆったりとしたサイズの車庫が理想だが現実は……
2回ほど切り返しをして、何だか危なっかしい印象でしたが、最後に車の左側うしろ半分を門扉で擦り、とどめにバンパー部分で家の壁を “破壊” した瞬間を目撃したのです。私の視線が気になった、なんてことはないはずですが……。
もちろん車のサイズだけでなく、運転をする個人の技量に左右される部分も多いのですが、自宅車庫からの出し入れでたびたび失敗していては、たとえそれをカバーする保険に入っていたとしても大きな負担増は免れません。
極端に考えれば、少しぐらい価格が高くても車庫が広い家を買ったほうが、結果的には安上がりなんてこともあり得るでしょう。
それでは、必要最低限の車庫のサイズはいったいどれくらいでしょうか。
財団法人駐車場整備推進機構(車庫研究会)から公表されている資料をみると、一戸建て住宅において1台の駐車に最低必要なスペース(前面道路に対して直角方向に駐車する場合)は、小型自動車の場合に長さ5.0m×幅2.6m、同様に軽自動車なら4.0m×2.2m、普通自動車(大型)なら5.9m×2.9mとされています。
また、建築士などの話では設計上の最低ラインとして5.0m×2.5m程度を考えているとのことですが、実際にはそれに満たない車庫サイズの建売住宅なども少なくないようです。
次第に軽自動車やコンパクトサイズの車のシェアが高まってきているようですから、今もこれから先も「小さい車にしか乗らない」という人であれば、それで十分かもしれません。
しかし、車庫があまりにも小さいと将来的に中古住宅として売ろうとしたとき、ニーズが少なくなりかねないことには留意をするべきです。
車のサイズによる考え方
軽自動車のサイズはほぼ似通っているものの、小型自動車(2000cc以下)や普通自動車のサイズはかなり違っているのが実情です。たとえば、同じ小型車クラスのサイズを比べた場合でも、トヨタのプリウスは全長4540mm×全幅1760mm、日産のノートは4100mm×1695mm、ホンダのフィットは3955mm×1695mmなど(いずれも2017年4月時点のモデル)となっています。
いま実際に乗っている車、あるいは将来乗りたい車のサイズを考えることも必要ですが、一般的には車の全長に80cmを加えた奥行き、車の全幅(ミラーを除いた幅)に130cm(110cmとする考え方もあります)を加えた幅が、車庫の “最小限” の広さとされています。
そうすると、上の駐車場整備推進機構による「最低必要なスペース」ぎりぎりでは、ちょっと厳しいケースも多いでしょう。
さらに車を2台、3台と駐車したい場合であれば、それなりの車庫幅が必要になることは説明するまでもありません。
≪車庫のサイズを考える他の要素…次ページへ≫