「昼は窓を開けないんです。いまも全部閉めてます。昼間開けると外気が家の中をあたためてしまう。だからそこは割り切って、風が必要だったら扇風機を使います。扇風機はエアコンの100分の1ぐらいの消費電力で済みますから、5~6台かけても全然安上がりですよ。そして逆に、次の日のために夜の間に冷気を仕組む。夜は窓を開けるんです。ここはコンクリート造ですから、夜にためこんだ冷気が長持ちする。それを扇風機でまわすので、けっこう涼しい。洞窟の中にいるような快適さでしょ?」(甲斐さん)
しかもそれは一戸建てではなく、集合住宅としてつくることで、さらに効果を上げていくことができる。緑のボリュームにしても、風の抜け道にしても、壁の空気の循環路にしても、必要な装置を共有することで効率的にもなるし、規模が大きければそれだけ効果も大きくなります。またそこには同じコンセプトに共感し、同じ価値観を持つ人びとが住むということで、より理想的なものを追求していけるという「価値」も生まれるでしょう。 甲斐さんは、経堂の杜に続いて、同じく環境共生型コーポラティブハウスの「松陰エコビレッジ」の開発に携わっていますが、そこでもこの価値(ベネフィット)を頭に置いたコミュニティ・ベネフィットの考え方を推進しているそうです。どんなものが出来上がってくるのか、楽しみですね。
「僕はコーポラティブハウス事業をやりたかったわけじゃないんですね。ただ、個人レベルではできない、一戸建てではなかなか実現しにくい環境ポテンシャルを、どうやって手に入れるかを考えたときに、コーポラティブハウスが一番合理的だったと。
しかし、それは一戸建てでは実現不可能かといえばそうじゃない。環境共生のコンセプトをしっかり把握していさえすれば、小さい領域でもそれは十分できる。環境共生型のすごく快適な家ができるはずだと思います」
チームネットでは、そうした環境共生住宅をめざす建築家や建て主に向けて、アドバイスやプロデュースを行っているとのことでした。
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