リビングと浴室とテラスが一体になった家
桑原廣さん(桑原建築設計室)が東急沿線の鷺沼に建てられた「音楽家の家」を見せていただきました。内部の撮影は建て主さんの意向で「NO」ということでしたが、外観と内部の一部から見ても気持ちよさが伝わってきます。
いくつかのCUBE(箱)を組み合わせたファザードの表情に思わずハッとするF邸は、高低差のある坂道をいくつか上り下りしてようやくたどり着く鷺沼の高台にあります。
内部に入るとすぐに地下と中2階に通じる階段。地下はRC打ちっ放しの音楽室ということでさすが「音楽家の家」だなーと思わせる広くて仕事に使えそうな空間になっています。
ここは1階と中2階に親子で分かつ個室を2つ設け、セミパブリックなリビングとバスルームを2階に持ってきた構成になっています。
子ども部屋はすべてが開く引き戸で仕切られていますが、ふだんは開け放っていても不自然ではありません。
本体から飛び出したかのように見えるCUBE----箱の部分はじつは2階のリビングに“装着した”形のキッチンと浴室でした。本体のほぼ大半をなすリビングにはかなりの天井高を確保し、キッチンは天井が少し低くなったところにあるわけですね。これが複数の空間の集積体であることを示すような豊かな表情をつくっています。
そしてリビングの南面には開放的なテラス----それはリビングとバスルームに面してつくられており、高台の自然の光と風を呼び込む空間となっています。
南面には大きな開口部、リビングの東側つまり階段部分の上にはハイサイドライト。これで心が満たされないわけはありませんねー。たゆとうようにゆったりと過ぎゆく午後、あるいは夏の夜更けなどには素晴らしい家族のひとときを提供してくれることでしょう。 住むことが愉しみに変わる、そんな一軒でした。