建築家・設計事務所/建築家住宅の実例

田井幹夫さんの凹の家(2ページ目)

アーキテクトカフェの田井幹夫さんが東小岩に建てた混構造の家を見学してきました。江戸川にあがる花火を見るのに絶好の屋上テラスを持つこの家は、切妻屋根を凹状にくり抜いた形になっています。

執筆者:坂本 徹也

この感覚は階段を上り下りしても変わりません。とりわけ畳の間になっているロフトからリビングやウッドテラスを見おろしたり、屋上テラスの存在を感じさせる凹状になった天井の出っ張りや、引違いテラス窓を見たりすると、この大空間に込められたエレメントの豊富さ、シークエンスの広がりに、えもいわれぬ満足感が得られるのです。ああ今度はあそこに行ってみたい、つぎはあちらからここを見てみたいという衝動というのでしょうか。

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青々とした畳の空間、折れ戸で閉じることも可能

じっさいに、眼下にリビングの見えるロフトの畳に寝ころんでみると、この空間独り占めの満足感がジワーッと湧き上がってきます。なんだかせかせか生き急いでいるのが馬鹿らしくなってしまいそう…。ここは折れ戸で閉じ、個室にしてしまうこともできるとか。1階がSOHOなら、ここに寝室を持ってくる考えもアリですよね。

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ロフトから見た室内、凹部にあたる屋上が見える

屋上への階段から見たロフト
屋上への階段から空を見る

切妻屋根をくり抜いてできた屋上テラス

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来年の江戸川の花火が待ち遠しい屋上テラス

屋上テラスは、切妻屋根をくり抜いた形で設けられており、ゆえにこの家は全体的に凹状になっています。ここからの小岩の風景はのどかそのもの。まわりに高い建物もなく、まさに大空を独占です。

img3観客席もしっかり設置 「ここは江戸川にあがる花火を見る絶好の場所なんですよ。友人たちを招いて、ロフトの畳の間で軽く食事を済ませ、打ち上げが始まったらみんなで屋上に上がって見物というわけですね。もちろん、日常的に大空を我がものにできる第二のリビングでもありますし、採光や風通しを確保するための装置でもあります。むかしの住宅にあった物干し台のような懐かしさも感じられますよね」(田井さん)
さあて、この屋上テラスを持つ大空間で、どんな生活が待っているのでしょう? 仲間うちのコンサートや詩の朗読会といった、小さな集まりがあると、「じゃあうちでやらない?」とついつい言ってしまいそう。家族4人で暮らすには、ちょっぴりゼイタクともいえそうな、広がりのある一軒でした。

設計監理:田井幹夫・間々田朋子
 アーキテクトカフェ・田井幹夫建築設計事務所

構造設計:横山太郎、原田玄/LOW FAT structure
施 工 :赤羽建設

構 造 :RC造+木造(一部鉄骨造)、地上2階+ロフト
敷地面積:85.96m2(26.04坪)
建築面積:58.32m2(16.67坪)
延床面積:116.64m2(35.34坪) ロフト階13.72m2

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