建築家・設計事務所/建築家住宅の実例

岩佐周明さんの犬と住む家(2ページ目)

岩佐周明(岩佐設計工房)さんがつくばに建てられた「犬と住む家」を見せていただきました。まるでヨーロッパの深い森の中に建っているような、美術家が愛犬とむつまじく暮らす家です。

執筆者:坂本 徹也

「犬によい」は人間にもよい

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北庭の樹木が見える美しいエントランスホール

このアトリエと、玄関ホールで接続しているのが母家。ホールにははめごろしの大窓があり、裏手の庭の大きな樹木が見えますが、これがピクチャーウィンドウとなってなかなかいい。美術家の家らしいアーティスティックな空間になっています。

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この空間の床も壁も天井も夫婦ふたりで仕上げたというから驚き

玄関から中に入ると、そこは吹き抜けが2つある巨大なLDK。南面は全部が開口部で前面は庭に面したデッキテラス。調光は縦型ブラインドで行います。「床は自然素材の塗料であるオスモで仕上げ、壁はほとんどが珪藻土。ペンキも身体に負担をかけないというものを使って、ご主人が奥さんと二人で塗られたんですよ」(岩佐さん)

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南面の大開口部からはあたたかい陽光と木々の緑が…

日差しの中でくつろぐブランちゃん 最後は首が回らなくなったというご主人ですが、自分たちの家は自分たちで仕上げたかったとのこと。美術家の面目躍如ということですが、ご主人が何をおいてもこだわりたかったのはウエスティのBlanc(ブランはフランス語で白の意味)ちゃんの健康。犬にとって住みやすい自然素材の家、健康的に暮らせる通風のよい家がこの家づくりの最大のコンセプトだったそうです。
「だって、犬によいということは人間にもよいはずですから」(ご主人)

リビングの壁には、ご主人が描かれた一点ものの絵(というかオブジェと絵画の融合のようなアート)が掛けられていましたが、おそらくたくさんある白い壁は数年間でギャラリーのように変貌していくのでしょう。

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グレートバリアリーフを思わせるご主人の作品、家に合う

LDKのいちばん奥まったところには司令塔のようなアイランドキッチン。ここから家全体が見渡せます。壁の向こう側は、裏手の森に面したユーティリティと小さな個室。個室は納戸にしても客間にしてもよい、多目的な部屋だそうです。

img3犬を洗うのにピッタリの広さと高さ 素晴らしいのはこのユーティリティ。ここには、ブランちゃんを洗って乾かすための、高さのちょうどよいシンクと壁付けのテーブルがありました。う~ん、これはウラヤマシイ! スペースもたっぷりありますから、2人がかりで連係プレーで洗って乾かせば、ブランちゃんの負担も最小限で済むように思います。

それにしても、降り注ぐ陽光がリビングの床をぽかぽかと暖め、開け放った木枠の開口部からは森からの爽やかな風が通る。ブランちゃんは、いつの間にか床に横になってすやすやと寝入ってしまいました。まったく、犬ならずともそうしたいと思わせるような空間です。

美術館にいるような気分に
2階の廊下からリビングを見る

つぎは2階のプライベート空間です

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