中野区の狭い道が入り組んだ住宅密集地。細い路地がつくり出した五叉路の角に、コンクリートが金属の鎧をまとったような小さな家が建っています。建て主のOさん夫婦は、近くの谷内田章夫さんが設計した名作集合住宅[スクエア]に8年ほど住んでいました。お二人とも建築の知識が豊富で、この家を建てるにあたっては「何よりコンクリート打放しの家を」と、建築家の木下道郎さんに希望されました。ちなみに、Oさんがこの家につけた[laatikko]という愛称は、フィンランド語の「箱」の意なのだとか。

金属の鎧をまとうRCの家


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外観
上/隣家と比較すると、その大きさが分かる。外壁のフェンスは最も高いところで5.4m。中上/左・路地に沿うように伸びる。右・玄関口の郵便受けも北欧デザイン。中下/左・東側の窓に隣の学校の緑が迫る。右・路地の奥から玄関方向を見たところ。下/亜鉛メッキ仕上げのファインフロアのディテール。


敷地の北側は小さな水路を暗渠にした幅2m弱の路地。南側は隣家に塞がれるという厳しい条件ですが、わずかに東側が隣の学校の緑に面しています。ここは、もともとあった古い木造住宅が取り壊された後、区が定める住宅建設可能な最低限度の敷地規制をわずかに上回るように、3分割された土地のうちのひとつ。ちょうどナタか中華包丁のような形をしていて、奥行きは20mもあります。しかし幅は柄にあたる部分で2m、刃にあたる部分は最も広いところでも5mしかありません。お二人に設計の相談をされた木下さんは、この敷地を見てすぐに「細長い廊下のような公共空地を家の一部として取り込もう」と、ひらめいたそうです。

◆建築家プロフィールと建築データ