親世帯が子世帯を包み込む“子宮”のような家


東急多摩川線下丸子駅から歩くこと6分。銀杏並木のガス橋通りからやや入った閑静な場所(準工業地帯)に、納谷学+新さん(納谷建築設計事務所)が建てた家「下丸子の平屋」はあります。

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一見、あれ?工事事務所かなと思わせるような外観です

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親世帯と子世帯の玄関が仲よく並ぶ

外観は「これは事務所?」とでも言いたくなるような、ほとんど窓のない黒い箱。しかしながら、これが母と子のための住宅と聞いて、うわーすごい贅沢!と思わず声を上げてしまいました。この好立地にあって、平屋というのは望んでも手に入らない夢ですよね。

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一番奥の壁まで突き抜ける廊下、生活スペースは始まっている

アプローチを行くと、道路に面して2つの扉。ひとつが親世帯(母)、もうひとつが子世帯(息子)という二世帯住宅であることがわかります。まずは右側の親世帯の方から拝見すると、入ってすぐに一番奥の壁まで突き抜ける長い廊下があり、その先に、中庭に面した空間(書斎)があって、廊下はさらにこの中庭を回る形でリビング+ダイニングへと続いていきます。

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途中にある書斎から中庭を通してリビングを見る

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中庭からの見上げ、天気がよければ最高でしょう

そこから先の空間は、そのままキッチンに接続し、さらに親世帯居住区のさらなる“内部”ともいえる2つの箱を周回する形で続いていきます。ようは、大きなパブリック空間の中にもうひとつの家(プライベート空間)があるということ。プライベート空間というのは、もうひとつの中庭で繋がった寝室と水回りですね。

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親世帯のリビング、左のRCの壁の向こうにバスルームがある

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リビングからキッチンと子世帯のリビング(左)を見る

平屋の素晴らしさをあますところなく生かす

正直な話、これはすごく快適な空間です。容れ子構造は納谷さんの作品ではよく見られる手法ですが、ここまで徹底したものは少ない。LDKとプライベート空間とは、しっかり内部壁で仕切られ、長い廊下を歩いて移動しなければ入れません。その意味では、完全に分離されているといってもいい(中庭のガラス戸を通って行き来しようと思えばできますが…)。

この潔さが、なんとも気持ちがいい! 2つの空間を移動することで“広さ”と収納力抜群のスペースが生まれ、なんだか得をしたような気分になれる。しかもそれは、シンプルになりがちなモダン空間にシークエンスの変化をつくり出している。

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オリジナルのローテーブル、花器が埋め込まれている

また、寝室とバスルームとが中庭で繋がっていて、とてもオープンな印象があるというのも嬉しいですよねー。外に向かって開かれた開口部がひとつもないのに、2つの中庭の存在によって、内部はこれ以上ないほど開放的! 平屋の素晴らしさをあますところなく生かした設計といえるでしょう。

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寝室から中庭を通してバスルームを見る

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バスルームから中庭を望む、う~ん開放的!

ダイニングからキッチンを見る
プライベート空間を包む廊下

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