建築家・設計事務所/建築家住宅の実例

納谷兄弟の下丸子の平屋(2ページ目)

06年最後のウオッチングは、納谷兄弟が下丸子に建てた家。下丸子の多摩川沿いという好立地に、なんと平屋という羨望の一軒。外観はただの黒い箱ですが、中は白い都市的空間という、びっくり箱のような住宅でした。

執筆者:坂本 徹也

07年の新しい住宅シーンを考えさせられる

さて、もうひとつの玄関から子世帯の居住空間に入ると、こちらは壁一枚を隔てて親世帯の廊下と平行に廊下があり、その壁に沿って水回りが設けられていました。そしてその先が坪庭に面したLDK、さらにキッチンの内壁を迂回する形で奥に寝室があります。

子世帯のリビング、親世帯との視線の交わりをどうするかは自由

リビングからの中庭の眺め、裸足で歩きたい

つまり、子世帯の方でも親世帯の方でもリビング+ダイニングが同じ中庭に面しているということで、両者がお互いに目を合わせなくてすむ角度でダイニングテーブルを置くという配置図になっています。これはまあ、いかようにも変えることができますから、暮らし始めてから話し合って決めればよいことでしょう。

ここにもオリジナルの花器が…
寝室の天窓、2階の計画もある

さらに寝室には、水回りと接続する形でトップライトがあり、そこに登る梯子が設えられていました。これは木造部分ですから、ここに階段を設け、2階を増設する計画もあるとのこと。家族形態の変化に、いかようにも対応できるフレキシブルな設計ということですね。

将来的には2階への階段室になるかもしれない寝室

本音をいえば、私などはこのまま平屋として住んでほしいところですが、子世帯が家族になったとき、親と子が住まいを交換したり、さらに先を考えれば子世帯の居住空間をオフィスとして使うなど、イメージの広がりも楽しめる。ある意味、これをひとつのスタンダードとして、二世帯住宅の規格品を売り出したらけっこう反応があるのでは、と思ってしまいます。

06年最後の住宅ウオッチングは、07年の新しい住宅シーンを考えるのに、大きなヒントを与えてくれる“一品”となりました。来年の納谷兄弟の仕掛けは? 期待したいです。

設計監理:納谷学+納谷新/納谷建築設計事務所
構造設計:かい構造設計
施 工 :成幸建設

構 造 :RC+木造、地上1階
敷地面積:200.57m2(60.67坪)
建築面積:120.02m2(36.30坪)
延床面積:120.02m2(36.30坪)

納谷兄弟の他の作品はこちら↓
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