裁判員制度/裁判員制度とは?

裁判員制度において裁判員の守秘義務はどこまでの範囲に及ぶの?

裁判員制度によって裁判員は守秘義務を課されますが、裁判員候補になったことすら話してはいけないのでしょうか。もしそうだとすると、妻や上司になんと言って会社を休めばよいのでしょうか?機密情報でなくとも話すことで罰則を課されるのでしょうか。

酒井 将

執筆者:酒井 将

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裁判員制度において裁判員の守秘義務はどこまでの範囲に及ぶの?

裁判員制度において裁判員の守秘義務はどこまでの範囲に及ぶの?

裁判員には守秘義務がありますが、裁判員候補になったことすら話してはいけないのでしょうか?

<目次>
 

裁判所から裁判員候補の呼出状が届いた!

昨日、家に帰ると裁判所から裁判員候補に選ばれたという呼出状が届いていました。以前、裁判員に選ばれたことも含めて色々なことを秘密にしなければならないと聞いたことがありましたので、慌ててその封筒を隠したのですが、妻には何か隠し事をしているのではないかと疑いの目で見られています。このまま妻にも秘密にしておかなければならないのでしょうか? また、裁判員として参加するとなると会社を休まなければならないので、上司と相談したいのですが上司にも話してはいけないのでしょうか?
 

裁判員制度における守秘義務とは?

さて、相談者に届いた呼出状は今回の事件に対して裁判員の候補になったという意味の通知で、実際には裁判所に出頭して選任手続を受けたときに正式な裁判員になります。ですから、相談者は現在、裁判員の候補者の立場ということになります。

ただし、裁判員になった後はもちろん、相談者のような候補者の段階でも、法律上の守秘義務が定められています。この守秘義務がどのようなものか簡単に言うと、裁判官や裁判員の話し合いがどのようなものだったのかということや、裁判員に選ばれたことで知った秘密を漏らしてはいけないというものです。

仮に、裁判官と裁判員の話し合ったその評議の内容を秘密にせず、誰がどんなことを言ったか分かってしまうと、後で何か言われるのではないかと不安になって自由に発言ができなくなるので、評議の内容等については秘密にしなければならないとされているのです。またそれ以外にも、被害者などの事件関係者のプライバシーに関わる事柄や、誰が裁判員になっているのかについても公にしてはならないとされています。自分が裁判員やその候補者になっていることを公表してもいけません。これは事件関係者や裁判員のプライバシーや、報復等から保護するといった趣旨のものです。

守秘義務に違反した内容によっては、罰金等の刑罰が科されることもあり得ま
すので、注意が必要です。
 

守秘義務が及ぶ範囲は? 妻や上司にも言ってはだめ?

ですが、日常生活の中で家族にまで秘密にしておかなければならないのでは息がつまりますね。

そもそも、裁判員の氏名などを公表してはならないのは、外部の人からの接触や働きかけを避けて裁判員の平穏を守る趣旨ですので、守秘義務があるといっても自分が裁判員に選ばれたことを家族に言うくらいであれば禁止されていません。また、裁判員として出頭するためには、仕事を休むことなども必要になってきますので、そのために必要な範囲で上司に報告することも差し支えないとされています(ただし、必要以上に公にすることは禁止されています)。

ですので、相談者も、妻や上司に裁判官に選ばれたことを話す程度であれば、守秘義務違反にはなりませんので、安心してください。

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