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刑事事件の時効とはどんな制度?

最近では、凶悪犯罪については、時効制度をなくしたらよいのではないか、という議論もあります。時効とはそもそもどんなものなのでしょうか?今回は刑事事件の時効について解説します。

酒井 将

執筆者:酒井 将

暮らしの法律ガイド

ニュースなどで、犯人が整形手術などをして逃げ隠れしているのをよく見ますね。事件から長期間たつと時効になって、処罰されなくなるようです。では、どうして時効なんて制度があるのでしょうか? 船や飛行機で海外に逃亡してしまったようなケースでも、時効で逃げ切れるのでしょうか。

時効って何?

犯罪の重さで時効が成立する期間は変わる

犯罪の重さで時効が成立する期間は変わる

犯人が事件を起こしてから長期間経過してしまうと、検察官がその犯人を起訴して裁判にかけることができなくなるというものです。刑事訴訟法250条に定められている公訴時効(こうそじこう)という制度です。

公訴時効の制度がある理由については、いろいろと言われていますが、事件から長期間が経過してしまうと、証拠が見つからなくなってしまいますし、社会の関心も薄れてしまうことなどが指摘されています。

ところで、時効が成立する期間については、犯罪の重さによって違います。例えば、殺人事件など死刑にもなる犯罪については25年間とされていますし、窃盗罪なら最も重い刑罰が懲役10年ですので、時効期間は7年間になります。


時効が停止する条件とは?

このような時効ですが、長期間経てば必ず時効になるわけではありません。時効も停止することがあります。例えば、検察官が起訴すれば時効は停止します。また、犯人が国外にいる間は、時効が停止するとされています。

最近、新しい最高裁判所の判決があり、犯人が一時的な海外渡航によって国外にいた場合でも、時効が停止することが明言されています。ですから、犯人が海外逃亡に成功したとしても、その国外にいる間は時効が停止しますので、日本に帰ってきたときに逮捕することが可能です。


時効制度廃止を求める声

最近では、時効によって犯人が保護されることの不合理性を指摘する被害者の声や、世論の高まりもあり、時効期間の延長や撤廃など、時効制度の見直しが議論されるようになっていますから、今回説明した内容も、数年後には変わっているかもしれません。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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