賢く生きる3分間マネーハック/賢く生きる 3分間マネーハック

子のいる既婚者が考えるべき老後資金準備の注意点(2ページ目)

老後資金準備についての基礎講座です。今回から3回に分けて、ケース別で老後資金準備の留意点を説明してみます。最初は既婚者で、子がいるケースです。この場合、もっとも注意すべきは「子の教育費負担と自分の老後資金準備の優先順位のつけかた」です。

山崎 俊輔

執筆者:山崎 俊輔

企業年金・401kガイド

  • Comment Page Icon

子の教育費負担と自分の老後資金準備はどちらが優先か

つまり、既婚者(夫婦)で子がある家庭における老後資金準備のポイントは2つです。

  1. 子の卒業するとき、自分の年齢は何歳か
  2. 子の人数は何人か

いずれも自分の状況を整理して、老後資金準備の対策を考えてみてください。このとき、「教育費は絶対親が全額負担する」という無理をしないようにして計画をするといいでしょう。
なんとなく、親が教育費は全額負担するもの、というイメージがあるでしょうが、高等教育については必ずしもそう考えなくてもいいと思います。利用できるものなら、奨学金などを利用して負担軽減を試みるといいでしょう(公的な給付を期待するのはまだ時期尚早です)。

奨学金には返済不要のものもありますし(一般に優秀な学生を対象)、返済まで期間をおくことのできるものもあります(たとえば日本学生支援機構の第一種奨学金なら無利息。第二種奨学金は最大20年の返済も分割可能)。子の勉学に対する自覚を促す意味でも(また、就職意欲を高めるためにも)、学費の一部を子に負担させることが有効です。

そして、少し浮いた余裕分は自分の老後資金準備に回します。ここで大事なのは「老後に子に頼らないために、老後資金準備を自分できちんとしている」と考えることです。「子の負担を削って自分優先している」と考える必要はありません

子の学費は親が全額負担したものの、老後資金準備が不足しており、新卒の子に毎月お小遣いをねだるような状況が、今起きつつあります。
仮に(子にねだる小遣いの総額)=(子に負担させた奨学金)が同じであれば、金額的には先に負担するか、後で負担させるかの違いかもしれません。しかし、子の印象は毎月ねだる小遣いのほうが悪くなります。
今、親が優先すべきは、「子に学費を負担させないこと」ではなく、「子に老後のお金を頼らない」ことだと思います。教育費の資金計画については、自分の老後のことも意識して考えてみてください。

なお、「定年になって資産を棚卸ししてみたら、意外に余裕があった」ということもしばしばあります。こういうときは、社会人になった子を呼んで、奨学金分を肩代わりしてあげてもいいでしょう。「お前の自覚を促すため奨学金をとらせたが、きちんと就職してがんばっているようだから、このお金で奨学金を返済し、自分の仕事に励みなさい」などと言えば、親の評価もあがろうというものです。

   ■   ■

現代は子も親の扶養のためにお金を捻出するのが困難な時代です。「子にお金を出してきちんと育てたら、親の面倒を見てもらえる」というようなことは子に求めるべきではありません(そう期待したいところではありますが)。
であれば、自分の老後資金準備を、自分でしっかりすることが大切です。
以前のコラムでも指摘しましたが、老後の安心の目安は公的年金以外に3000万円(退職金・企業年金を含める)です。子の学費より大きな負担だと強く自覚し、資産形成に取り組んでみてください。

(追記)
ここまで述べてきたのと同じ意味で、教育ローンの利用は避けたほうがいいでしょう。
教育ローンを利用すると50代にその返済が追いかけてきます。返済している間に定年がやってきて、自分の老後資金準備はさっぱり、ということが起きてしまいます。それなら子に奨学金を利用させるべきです。
結果として、子に老後の生活費をねだる、という構図になりかねません。低利のローンであることはいいのですが、利用は慎重に判断してください。

  • 前のページへ
  • 1
  • 2
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます