白無垢は斎服の流れ
一方、日本ではどうだったのでしょうか。日本でも白無垢が花嫁衣裳として一般化しています。日本では白は神聖な色と考えられ、ヨーロッパと同様、「純潔」「清潔」「無垢」などを象徴する色でした。白無垢は婚家に骨をうめる覚悟を表したもの? |
ちなみに、白無垢から色打掛けに着替えるのは、結婚式という神に仕える行事をした後、人間の世界に戻ってきたことを表すといいます。華やかな色打掛け姿で生身の女性に戻り、祝宴を行うというわけです。
また、白無垢におけるウエディングベール(?)ともいえる綿帽子は、もともとは老女が防寒用あるいは塵除けにかぶっていたもの。それが美しく整えられ、婚礼の際にも使われるようになったといわれています。花嫁は綿帽子で顔を隠し、三三九度のあとに綿帽子をとって顔を見せるのです。
現代の花嫁が白色を着る意味は?
白という色が持つ象徴性ゆえ、結婚式の定番となった白いウエディングドレスや白無垢。それが現代まで受け継がれているわけですが、女性の結婚年齢が上がり、「できちゃった結婚」が珍しくもなくなった昨今、純真だの無垢だのというのもなんだかしっくりこないような気がしますよね。現代の花嫁が白い衣裳を着る意味、それはズバリ「リセット」にあるのではないかと、私は思っています。さまざまな体験をしてから結婚にたどり着く現代の女性たち。どこまでも清らかな白い衣裳には、人間をもう一度まっさらな状態に戻す力が宿っているような気がします。自分を一度リセットし、新しい状態になってから、彼とふたりの人生に1歩足を踏み出す。そうした決意を込めて、白い衣裳を身に纏う。それが現代におけるウエディングドレス、白無垢なのではないでしょうか。
30代の女性の中には「いまさらウエディングドレスでもないし…」なんて尻込みする人もいるようですが、新しい人生の門出を迎えるにあたって、白い衣裳で気持ちを新たにするのも意味があることなのではないかと思いますよ。
■参考文献:坂井妙子「ウエディングドレスはなぜ白いのか」(勁草書房)、中江克己「江戸の冠婚葬祭」(潮出版社)
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