結婚式は一種の親孝行でもあるのです。基本的には、親というものは自分の子供の結婚式を楽しみにしているもの。「自分の結婚式はあくまでも自分のものであって、親のものではない」と考える人もいるとは思いますが、そこまで頑なにならなくてもね。親が自分の結婚式を楽しみにしているというのであれば、一種の親孝行と割り切って結婚式を行うのも私は悪いことではないと思います。
さらに、これは最近の傾向だと思うのですが、「結婚式の費用は自分たちで用意して親には迷惑をかけない。その代わり、結婚式は自分たちのやりたいようにやって、親には口を挟ませない」という考え方。自分たちで費用をまかなうのはとても素晴らしいことだと思いますし、費用は自分たち持ちなのだから自分たちの好きなようにやって何が悪い、というのは正論でしょう。けれども、それじゃあなんだかちょっと寂しい気がしません？ また、親には迷惑をかけたくないという一心で、「心配しないで。私たちでなんでもやるから、お父さんとお母さんは来てくれるだけでいいのよ」というケースもあるでしょう。一見、とても親孝行のように見えるのですが、これって親からするとけっこう寂しいものなんです。親は何らかの形で子供の役に立ちたいと思っています。結婚式という人生最大のイベントであればなおさらのこと。ですから、結婚式の準備段階では、いろいろと相談したり、どんなふうに準備が進んでいるかを報告するくらいはしてあげるといいのではないかと思います。
結婚式は離婚回避の最大の方策……かもしれない
結婚式の取材をしているとかなりの確率で「最初は結婚式なんかしたくなかったんですよ」と言う人にぶつかります。で、その人に「やってみてどうでした？」と聞くと、ほとんどの人が「なんだかんだいってやってよかった。バカにしていた部分があったんだけど、けっこう感動した」というセリフが返ってきます。
結婚式ではふたりのプロフィール（生い立ちやなれそめなど）を紹介したりしますよね。その準備で昔を思い起こしたり、写真を集めたりします。そうすると、自分がいままでどれだけ親の愛を受けて育ってきたかを改めて感じることができるのです。
また、結婚式当日にいただく励ましの言葉や祝福の言葉。いつもは軽口を叩き合っている友人や仕事仲間も、結婚式だからと本音で語ってくれたりします。「自分はこんなにも周りの人たちに助けられているんだ」と、自分ひとりでここまできたのではないことを実感することができるのです。実はこれは挨拶回りなどでは得られないものなんですね。大いなる祝福を受けて人生の新しいステップを踏み出したわけですから、「おいそれとは別れられないなぁ」と気持ちを新たにするわけで……。
さらに、結婚式の準備を協力して行うのは、ふたりの絆をより確かなものにするのに役立ちます。というのも、結婚式の準備ってけっこう大変。パーティの企画だけならプロデュース会社の力を借りるなどすればそれほど大変ではないかもしれませんが、両家の意見を調整したり、招待客を決めたりなんてことが意外に骨が折れるのです。そんなことを、時には衝突し合いながらひとつひとつクリアしていくうちに、お互いのことをさらに深く知ることになるのです。いうなれば新生活の予行練習といえるかもしれません。ただ単に付き合っているだけではわからなかった相手の新たな面を発見でき、新生活をスムーズに運営するヒントが得られること間違いなしでしょう。
つまり、大げさに言えば、結婚式をすればそう簡単には離婚できないし、しないともいえるのです。
おお、なんといいことづくめの結婚式！（笑） 結婚式が面倒くさい、という気持ちはわからないではありません。でも、「や～めた」という結論を出す前に、その意味についてふたりでよく考える時間を持ってみて下さいね。
