ウズガラ・キョフテ(トルコ版ハンバーグ)
ケバブと並び、トルコを代表する肉料理のひとつである「キョフテ」。キョフテとは「肉団子」の意である。トルコには、生肉とひき割り小麦を練ったキョフテ、揚げたキョフテ、焼いたキョフテなど、~キョフテという料理がたくさんあるのだが、なかでも「ウズガラ・キョフテ」は日本のトルコレストランでもよく見かける一品だ。
ウズガラ・キョフテは、牛か羊のひき肉に玉ねぎ、パン、スパイスなどを加えてよく練り、小さな楕円形に丸めて焼いたもの。シンプルに見える料理ほど味に違いがでるものだが、この料理もまさにそう。お店によって味はさまざまだ。おいしいところのキョフテは、噛んだときに押し返されるほどの弾力があり、さらに歯をあてると肉汁がじんわり。
キョフテは肉の香りや甘みを残しつつ、スパイスも名脇役に仕立てなければおいしく仕上がらない。小さな小さな世界のなかで、それを表現しなくてはならないのだから、簡単なようでいてかなり専門性を要される。だから、味に違いがあって当然。
私はトルコのキョフテ専門店(キョフテジ)で食べて以来、すっかりこの料理の虜になってしまったのだが、以来、日本のトルコ料理店でも必ずといってよいほど頼む、偏愛する料理のひとつになっている。日本とトルコでは肉の味に違いはあるものの、日本の料理店でもとてもおいしい「ウズガラ・キョフテ」に出合うことが度々ある。派手さこそないにしろ、この料理はかなりいい味をだす注目株だといえるだろう。
ちなみに、このウズガラ・キョフテをトマトで煮込んだものは「イズミル・キョフテ」といい、この料理もときどき見かけます。