こんなお店を待っていた!
本当は秘密にしたいモロッコ料理店

ワタシが念願だったモロッコの地に足を踏み入れ、何日か料理を口にしたときの感想は、“あら?モロッコ料理って、あまりスパイスを多用しないのね”
だった。モロッコにはスパイス専門店があり、肉や魚、鶏肉など、素材によって数十種類のスパイスを調合してもらい、料理に使うのだと聞いていたので、さぞ複雑な味の料理が多いのではないかと思っていたら、そんな印象は日を追うごとに一新。どのスパイスも主張しすぎない優しい味わいに、ハッとさせられるばかりだった(特に家庭を訪れると)。

数えられるだけの日数しか滞在していないワタシが言うのもいささか失礼ではあるけれど、モロッコ料理は基本的にスパイス使いが穏やかで、素材がもつ丸みのある味わいが楽しめる料理ではないだろうか。

そんな優しい顔をもったモロッコ料理を堪能できるお店が、2009年11月13日にオープンした。オーナーシェフは、モロッコのレストランで2年半、後モロッコの女性料理研究家のもとで2年半。計5年間モロッコに滞在し、さまざまな側面をもつモロッコ料理を見つめ、その技を習得してきた女性である。彼女のことは、モロッコ滞在中から発信されていた「モロッコ料理の台所」(このエスニックサイトでもリンクしています)で知り、その食に対する熱意やモロッコ料理に対する愛情、文章から伝わるお人柄、温かさ、芯の強さ。とにかくすべてが気になり、どのような方なのだろう…よく思い描いていた。

そんな彼女がモロッコ料理店をオープンさせたことをホームページで知り、これは!と思いながらもなかなかタイミングが合わなかったのだが、ちょうどオープンから1ヶ月経った頃に、やっと訪れることができた。結果は、ふふふっ。店を出たあと、ほくそ笑んでしまったほど、そこにはワタシが望んでいた、心温まるけれどもワクワクするような魅惑的な料理があり、快適空間があり、日本人から見たモロッコ料理の核なるものをも垣間見えたような気がした。