「ポロ」は、もともとお祝い事などの行事に欠かせない、日本でいうお赤飯のよう?!なおもてなし料理として親しまれていたが、いまでは日常的に食べられている人気の伝統料理のひとつである。
羊肉をはじめ、牛、鶏、馬などの肉とたっぷりの人参、玉ねぎを炒め、米を加えて炊き込んで作られるのだが、このピラフの驚くべきところは、味つけにはなんと塩しか加えないという点だ。人や地域によって香辛料を加えることもあるようだが、わたしが教えてもらったお母さんのレシピでは、香辛料は一切加えていなかった。なんでも、家庭では塩だけで作られることが多いのだとか。
使う調味料は塩だけという、ウイグル流ピラフの「ポロ」。その味わいは実にあっさりとしているのに、食べ応えはじゅうぶん。肉や野菜をたっぷりの油で“じっくり”と炒めることによって、素材の旨みと甘みが引き出され、米に肉や野菜のエキスがしみこむ。しかも油の旨みもあるので、塩だけでも舌やオナカが満足するのである。
ポロの中国名は、抓む(つまむ)飯と書いて「抓飯(ジュアファン)」。ウイグル族は、以前から手でつまんで食べていたため、その名がついたそうだが、教えてくれたお母さんも、「ポロはこうやって食べるのよ!」とでも言うかのように、満面の笑みをこちらに向け、ポロを手で皿の端に寄せ集めてつまみ、そして親指を押し出して口に運び、昔ながらの食べ方を披露してくれた。
私もすかさずお母さんの真似をして手で食べてみたら、スプーンで食べるよりもずっとずっとおいしく感じられた。
料理は食べ方ひとつでおいしさが変わってくるから、本当に不思議。手食の大切さをまたまた実感した瞬間でした。
このような食べ方は、実はウイグルでも次第になくなり、今ではスプーンで食べる人が多くなっているとか。
ポロを食べるときは、スプーンで食べる前に、ぜひこの伝統的な食べ方を少しだけでもお試しくださいね。おいしく感じられること請け合いです!
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