葉っぱもの全般はシェフのご実家から届きます!
来栖:ルッコラ以外の野菜も、シェフのご実家のものを使っているんですか?斉藤:葉っぱものはそうですね。生で食べるものは。必ず年に一度イタリアから種を買いつけてきます。
来栖:春の時期はルッコラですが、秋になったら何がでてきますか?
斉藤:ルッコラは年間を通して作らせています。秋の終わりからはピノッキオ。夏の終わりに種を植えて、10月の末にできます。黒キャベツもそう。年がら年中あるんですが、冬の煮込みのイメージですからね。ルッコラは2種類作らせています。野生種のルッコラと普通のルッコラ。野生種のほうが人気なんですが、私は普通のほうが好きなのでこっちを使っています。野生種は、葉がギザギザになっているんです。味が濃いので、他のレストランでも使っている人は多いですね。
来栖:もともと種が違うんですか。
斉藤:そう。野生種は「セルバティカ」。今日のは「コルティバータ」。最近はメール配信もしてるんです。野菜の説明とかね。
にんにくの使い方にもひと工夫!
─小さい頃から、料理に関心があったんですか?斉藤:ボクらの時代は、貧富の差があった。うちは裕福なほうだったと思うので、例えば友達の家に行くと、おかずの皿が足りないんだよね。うちは5皿なのに、みんなは3皿くらい。昔からちょと贅沢なものを食べてきた、というのはありますね。
来栖:それはボクも思いますね。小さい頃から、いつも食べていたわけじゃないですけれども、父親と母親も食べることが大好きで、どうでもいいところに10軒行くくらいなら、おいしいところ1軒に行くほうがいいという考えだったんで、それについて行ったり。小さい時からいろいろ食べさせてくれていた、というのは大きかったと思いますよ。気づいたら、フォークやナイフの使い方も覚えていたし。小さいながらも、目の前にある料理を見て、これは何で出来ているのかな、と自然に考えるようになりました。親の影響はあったと思いますね。
斉藤:野球をやってたんだけど、練習が終わって中華料理屋に行くと、みんな「ラーメンライス大盛り」とかいうわけ。でも、私は野菜炒めをつけたり。ラーメンライス大盛りは食べられないわけよ。だって野菜がないでしょ。バランスよくしたいんだよね。野菜炒めと普通のラーメンとご飯とか。今もラーメン食べる習慣はないんですよ。お蕎麦屋さんにも行かないですね。
来栖:基本的に、単品で食べることがない?
斉藤:そうですね。中華とか、和食も。
来栖:今、こうやってレストラン始めて、今でも休みのときに外食したりします?どういうジャンルが多いですか?
斉藤:基本はイタリアン、フレンチ、中華、和食。その4つで足りちゃいますね。たまにタイ料理、韓国料理とかも行きますけれども。いろいろ訳のわからない料理には行きませんね。基本のイタリアン、フレンチ、中華、和食はまんべんなく行きますね。あとは、焼き鳥やとか、居酒屋とかも行きますけどね。何でもありのところじゃなくて、焼き鳥だけとか、居酒屋でも昔ながらの煮込みが美味しいとか、刺身があったり、焼き魚がうまいとか、日本酒はいいのがおいてあるとか。なかなかないんですけど。
来栖:外に食べに行ったときに、そこで「おっ!」と閃いたりすることはありますか?
斉藤:ありますね。どんどん自分で取り入れたりします。それもね、荻窪の時は自分の好きなものを出していたからできるけれど、ここは私だけじゃないので。佐藤(斉藤シェフとともにノリーオを支える若手シェフ)がいるでしょ。彼はパスタがキーポイント。佐藤のようにしっかりした人間がいると、変にアレンジしたりしないですから。
来栖:実際そうですね、イタリアン行ってまずなに見るか、っていうとパスタですからね。
斉藤:基本的には、具がいっぱい入っているのが好きじゃないんですね。食べ終わったときに、パスタと具が一緒になくなるというのがいいんです。あくまでもバランス。
ボッタルガの塩気が絶妙な「アオリイカとズッキーニ、マグロのボッタルガのリングイネ」。 |
斉藤:料理には、バターは一切使わないですね。イタリアンでもバターを入れる人は多いですけども。
来栖:ここは純粋にオリーブオイルだけですね。
斉藤:あとは、にんにくのチップもやらないですね。にんにくの塊を弱火で煮て、オイルを作るんですね。それをパスタに使っています。
来栖:普通はパスタを作る時、まずにんにく入れて、そこから始めるじゃないですか。ここはあらかじめにんにくを煮たオイルを使っているから、料理を食べても、にんにくの強い香りが残らないんですね。
斉藤:トラットリアとかならいいけれども、リストランテににんにくのにおいは似合わないでしょ。まあ、私なんか調理経験がそんなにないし、独学ですからね。年齢も57ですし、どんどんさっぱりしたものが食べたくなっちゃうのかな。でも、そういう自分のやり方を佐藤が理解していますからね。彼が来てくれたのも、私のそういう姿勢に共感してくれたわけですし。信頼していますね。
次ページは、斉藤シェフとともにノリーオを支える佐藤シェフの存在について。