里帰り出産をする人の割合が減少、原因は
里帰り出産の現状はどのようになっているのでしょうか。またその背景には何があるのでしょうか。インターネットサイト「こそだて」の妊娠・出産に関するアンケートによると、「里帰り出産しなかった(しない)人」の割合は次のように推移しています。
・2002年10月実施 36.8%
・2006年9月実施 43.1%
・2011年11月実施 41.2%
つまり、6割弱が里帰り出産しているということです。10年前からは里帰り出産する人が減ったけれど、下げ止まったとも言えるでしょう。
2011年のデータで里帰り出産した人の里帰り期間を見てみると、3カ月以上の里帰りをした人の比率はあまり変わっていないものの、2カ月間以内という人は45.4%(2002年)から36.1%(2006年)、34.9%(2011年)と徐々に減少しています。
なお、「父親が育児休暇(または有給)を取得していない」と答えている人は、2011年には81.4%です。
以上のような背景には、どんな理由があるのでしょうか。
お産をできる病院が減っている
まず大きな原因として、産院が減っているということは見逃せない事実です。妊娠中のママからは「里帰り出産したくても、実家の近くの産院が閉鎖されてしまっているので、里帰りできない」という声は少なくありません。里帰り出産を望んで里帰りしても、実家から遠くの産院まで行かなくてはならないのなら、やはり今まで妊娠経過を見てもらった自宅近くの産院で出産したほうがいいと考える方も多いようです。
親子のライフスタイルが変わり、ストレスを感じることも
もう一つはライフスタイルの多様化です。晩婚化や、晩婚化による出産年齢の高齢化によって、女性は長期間の社会経験をし、親とは違う自分自身のライフスタイルを確立していきます。そのため、里帰り出産によって実家のライフスタイルに合わせなければならなくなることに対して、多少の精神的なストレスを感じてしまう懸念も、背景にあるような気がします。実家の親にお世話になるのですから、文句は言えないものの、食事の内容だったり、一緒に見るテレビ番組だったり……。自宅では好きな音楽をリビングで流しているけれど、実家ではなかなかそうもいきませんよね。
高齢出産のため、実家の親も高齢になり、頼れないということも背景にあるでしょう。このようなことから、里帰り出産を選ばない人が増えてきているのかもしれません。
里帰り出産しない。かといって夫も育休を取ったり、仕事から早く帰って来たりはできない……。だから、親を自宅に呼んでサポートしてもらうという方もいます。でも親に来てもらう場合には、なかなか長い期間というわけにもいかないものですね。
里帰り出産しないことで、育児不安が増長されている?
里帰り出産の利点は、(もちろん、ある程度の役割を担うべきではありますが)家事の主導権を親に任せられることと、育児を手伝ってもらえるということです。そしてもう一つ大きな利点は、その場で赤ちゃんのお世話の仕方を親から教えてもらえたり、状況ごとに子育てのアドバイスが聞けたりするということです。
親と一緒に暮らしているからこそ、赤ちゃんの様子や状況に応じたアドバイスがその場でもらえる。これは新米ママにとって、とっても大きな安心材料になるはずです。
もちろん里帰り出産をせずに、夫と協力して産まれたばかりの赤ちゃんを育てていいけば夫婦の絆も深まります。ただ実際、夫の帰宅時間が遅いために、ママが一人で育児も家事もするケースも多いようです。
家事代行やファミサポなど、使えるサービスは使おう
産後の疲れや体調の回復もままならず、初めての赤ちゃんのお世話に戸惑って……という状況に陥らないように、里帰り出産しない場合は、可能なら実母や義母に手伝いに来てもらったり、家事代行やファミリーサポートなどを上手に取り入れるといいと思います。初めての妊娠だと、なかなか出産後のイメージがわかないもの。赤ちゃんが産まれたばかりの頃は、心にも身体にも余裕がなくなることも多くあります。
妊娠中からいろいろと情報収集して、育児の悩みや身体の疲れを一人で抱え込まないようにしたいですね。