印鑑を作ったために!?

スコットさんの姓を仮に「山田」としましょう。日本に来たときに、彼はまず「ヤマダ」で印鑑を作りました。それを、銀行口座を始めとし諸々のことに使っていたわけですが、2月にアメリカに帰ったときに紛失してしまったとのこと。そこで、結婚するにあたって、今度は「山田」で新しく印鑑をオーダーしたのです。

余談ですが、外国の方は日本の印鑑にたいへん興味を持っていて、わざわざ作っていく方がけっこう多いのです。アルファベット表記のお名前ならカタカナで作る人が大半ですが、漢字への憧れも強いので、日本人のお友達などに良い漢字を選んでもらって、それで作る方もいます。

スコットさんの場合、お父さん方の家系の姓は漢字ですから、新しい印鑑は漢字のほうで作ったわけですね。すると……

外国人の夫は山田、日本人の妻はヤマダ

婚姻届の外国人の氏名は、本国で漢字を使用している国の人は漢字で、それ以外の国の人はカタカナで記入します
スコットさんのアメリカの出生証明書の表記は「YAMADA」です。彼のルーツが漢字で「山田」ということは分かっているのですが、漢字を使ったアメリカ政府発行の書類は存在しないのですね。したがって、婚姻による直美さんの改姓は、カタカナで「ヤマダ」となります。

一方、スコットさんは印鑑登録する印鑑を漢字で作ったので、印鑑と印鑑登録の表示氏名を合わせるためには、漢字の「山田」で通称名登録をしなければなりません。本来、外国人が印鑑登録できる印鑑は、外国人登録原票の記載(スコットさんの場合はYAMADA)と同じでなければいけないのですが、漢字やカタカナを通称名として登録しておけば、それでも認めてもらえるのです。

つまり、スコットさんが通称名の「山田」を名乗る時、その瞬間だけ、お2人の名字は違う表示になってしまうのです。夫である外国人のスコットさんが「山田スコット」、妻の直美さんが「ヤマダ直美」。なんか変でしょ~。

これらの説明を市役所の人から受け、外国人がさまざまな登録をするにはこのような規定があるのだということを初めて知り、この不可思議な事態全体をお2人が把握するまでに、20~30分はかかったのではないかと思います。私たちはその真っ最中に到着したのでした。

いつも同じ姓にするためには、印鑑を「ヤマダ」で作りなおして登録するという方法しかないとのこと。でも、せっかく特急で作ってもらった印鑑なのに、またもう1つ作るというのも……。無駄にお金をかけたくもないですしね。

結局、お2人が出した結論は……

通称名を使う時だけのガマン……ということで、その時だけは「山田スコット」と「ヤマダ直美」になることに譲歩したのです。それ以外の時はスコットさんが「ヤマダ」としてもいいそうですが、使い分けには気をつけないといけませんね。


登録するには「通称名」を裏付けるものが必要ですが……