国籍とは
日本国籍をもつ人は、日本のパスポートを所持でき、選挙権・被選挙権があり、社会保障を受けられる。もちろん納税などの義務もある |
世界各国はそれぞれの国の国籍法で、自国の国籍に関するさまざまな規定を定めています。
世界の国籍法には、大きく分けて「生地主義」と「血統主義」があります。
「生地主義」は、両親の国籍とは関係なく、生まれた国の国籍を取得するもの。「血統主義」は、生まれた国には関係なく、血統により両親の国籍を取得するものです。
これらは子どもの国籍に大きく関わる問題ですが、それはまた別項で詳しく説明しますので、そちらを参考にしてください。
この記事では主に、国際結婚によって国籍にはどのような影響があるのかについて解説していきます。
国際結婚によって国籍は変わるのか?
外国人と結婚することで、あなたの日本国籍は変わるのでしょうか?
端的に言えば、国際結婚によって日本人が日本国籍を失うことはありません。また、外国人配偶者が自動的に日本国籍を取得することもありません。
ただし、相手の国の国籍法で、自国民男性と結婚した外国人女性にはその国の国籍を付与すると定めている国もあります。その場合、婚姻によって自動的に配偶者の国の国籍を取得することになり、その女性は一時的に二重国籍者となります。
同様の制度をもつ国でも、外国人女性がその国籍付与を拒否できる国もあります。
また、婚姻後、簡単な届出をすることによって、相手国の国籍を取得できる制度をもつ国もあります。
結婚が決まったら、相手の国の国籍法について、日本にある同国の大使館や領事館に一度問い合わせておくとよいでしょう。
(1)婚姻により外国人女性に国籍を与える国
アフガニスタン、イラン、エチオピア、サウジアラビア、ヨルダン、ジンバブエ、ソマリア など
(2)婚姻により外国人女性に与えられる国籍を拒否できる制度がある国
ガボン、セネガル、コートジボワール、中央アフリカ、チャド、トーゴ、ドミニカ共和国、マリ、ルワンダ など
(3)婚姻により届出などの意思表示をすることによって夫の国籍を与える国
アイルランド、アラブ首長国連邦、イタリア、イスラエル、インド、インドネシア、エジプト、カメルーン、グアテマラ、グレナダ、ザンビア、ジャマイカ、スリランカ、タンザニア、デンマーク、トルコ、ニュージーランド、フランス、ベネズエラ、ボリビア、ポルトガル、ポーランド、マレーシア など
では、婚姻によって自動的に国籍が付与され二重国籍となってしまったら、どうすればよいのでしょうか?
結婚によって二重国籍になった場合
日本の国籍法には、以下のような条文があります。
国籍法 第十一条
日本国民は、自己の志望によって外国の国籍を取得したときは、日本の国籍を失う。
2 外国の国籍を有する日本国民は、その外国の法令によりその国の国籍を選択したときは、日本の国籍を失う。
前項(1)の場合、相手の国の国籍法により、自動的にその国の国籍を付与されたわけですから、自己の志望による国籍取得とはみなされません。
したがって、このケースでは日本国籍を喪失することはありません。ただし、日本政府に「国籍選択届」を提出しておく必要があります。
前項(3)の場合、自分の意思で相手国に国籍取得の届けを出したわけですから、これは「自己の志望」にあたり、日本国籍を喪失することになります。