養子縁組をしても子供の国籍は変わらない
子供の国籍を変えるために、日本では別に帰化申請をしなければならない |
「日本人の養子になったら、日本人の子として扱われるんじゃないの?」
ところが、そうではないのです。養子縁組をして、法律上の親子関係が成立しても、子供の国籍は変わらないのです。
養子に日本国籍をとらせたい場合は、別に帰化申請をしなければなりません。
また、養子縁組は養親の本国の法律によって成立します。つまり、国際結婚の場合は、夫と妻それぞれの国の法律に従って養子縁組がなされるのです。
メビサさんの場合、おばあさんとはタイの法律に基づいて、来日後、おばあさんの夫と日本の法律に基づいて養子縁組をしています。
養子なら、妻や夫と同じ「配偶者等」の在留資格が得られるのでは?
国際結婚をして日本に住む外国人パートナーが「日本人の配偶者等」という在留資格をもっているのと同様に、日本人の養子にも同じ在留資格が与えられるのではないかと思っていたのですが、ここに一つの規定がありました。「日本人の配偶者等」の在留資格に該当するのは「日本人の配偶者、日本人の子として出生した者及び日本人の特別養子(民法第817条の2の規定によるもの)」だけなのです。
では、この「特別養子」とは?
「民法第817条の2」の条文はこうです。
「家庭裁判所は、次条から第817条の7までに定める要件があるときは、養親となる者の請求により、実方の血族との親族関係が終了する縁組(この款において「特別養子縁組」という。)を成立させることができる。」
少し分かりづらいですが、要するに実の父母との親族関係がなくなる縁組のことを「特別養子縁組」といい、その養子が「特別養子」なのです。一般の養子縁組では実の親子関係は絶たれません。
その下の「第817条の5」には、こうあります。
「第817条の2に規定する請求の時に6歳に達している者は、養子となることができない。ただし、その者が8歳未満であって6歳に達する前から引き続き養観となる者に監護されている場合は、この限りでない。」
つまり、条文後半の事例を除いて、6歳以上の子供は「特別養子」になることができないのです。6歳で区切られているのは、養子縁組を悪用しての不法入国を防ぐためだといわれています。
このように、6歳未満の「特別養子」なら得られる「日本人の配偶者等」の在留資格が、13歳のメビサさんには認められなかったのです。