国際結婚は身軽に移動できる?
昨年、日本に数カ月間帰ってくることを友人カップルに話したときに「国際結婚の人って身軽だね~」と言われました。なんでも彼らの知り合いの国際結婚カップルは、日本に数年住むとか、カナダの別の都市に移住するとか、身軽に動き回っている人が多いのだそう。もちろん、仕事があったり、子どもがいない、就学前というような条件があればこそだと思うけど、たしかに私の知り合いにもそういうカップルが多いかも……。カナダでの仕事を辞めて日本に移住したご夫婦を何組も知っているし(滞在年数はそれぞれ異なる)、この夏も1組トロントに引っ越したばかり。子どもが2人いる友人は、ご主人がビジネスの関係で台湾に帰っているので、子連れで日本に長期帰省中だし。どちらの国に行っても、とりあえず腰を落ち着ける場所(実家)があるということも、大きいかもしれませんね。
かく言う私たちも、実はこの秋からしばらく日本に住むことになりました! カナダのビザの条件が緩和されたこともあり、夫の仕事に都合がいいことや、まあその他諸々の事情を考え合わせたうえでの決断です。
しかし、急に決まったので、引越し準備に大あわて。決して模範例ではありませんが、私たちの引越し準備タイヘン記……じゃなかった、体験記をお届けしまーす。
初めての海外引越し
夫の日本に住みたい願望が強かったので、いつかは来るだろうと思っていたこの日が、8月中旬に突然やってきました。なるべく荷物や家具を増やさないようにと思っていたのに、見事に増えてしまった部屋の中を見渡し、しばし途方に暮れる私。何から始めたらいいのか分からない。カナダに来る時は必要最小限のものだけを持ってきたので、本格的な海外引越しは2人ともこれが初めてなのです。引越しまでは1カ月ちょっと。とにかくまず段取りを考えなければ……いずれ戻ってくるつもりなので、家具類はストーリッジ・ルーム(貸し倉庫)に預けることにし、あとは日本に送る物、誰かに売る物、寄付する物、捨てる物などに分ければいいと話し合いました。
最初に手をつけなければならないのが、日本に送るための手配。帰国した友達の話はよく聞いていたけれど、いざ自分がするとなると、頭の中は真っ白です。ただ、私たちの場合、救われるのは、家具や電気製品など、大きな物を送る必要はないということでした。送る物といえば、本と洋服、資料やアルバムくらい。う~ん、なんとかなるかなあ。
お手軽、引越しパック
まずは旅行会社に勤める友人に相談しました。友人の会社は大きな運送会社--P便で有名なN通運--の関連会社なのです。そうしたら、あっという間に資料をそろえてくれて大助かり! しかも、期間限定の「夏休みスペシャル」という格安パックが組まれていたときで、これを利用するといっそうお得なのだそう。そのうえ、梱包の仕方から書類の書き方、日本入国時の別送品申請の手順など、担当の方から詳しく説明をしていただき、なんだかもう引越しが半分片付いてしまったような気分になりました(おいおい)。
この格安パックは、運送会社専用の箱(52×52×40cm)で、最高7個まで送ることができるもので、1箱30kgまで入れることができます。もちろん船便です。箱は頑丈で大きく、これなら今回の私たちには7個で充分。
料金は1箱C$99で、箱代が別に1つC$8かかります(他のパッケージでは、箱代が料金に含まれているものもありました。その場合は箱の配達もしてくれます)。荷物は取りに来てくれ、日本の通関手続きと自宅までの配達料も含まれています。また1箱につき、C$1300までの保険もついています。
ちなみに郵便のほうも調べてみましたが、箱のサイズ・重さで比べると割高になることと、自分で郵便局まで持っていかなくてはならないので(車がない私たちにはタイヘン)、即決で業者さんに頼むことにしました。
みなさんも引越しが決まったら、まずいくつかの運送業者や引越し業者に問い合わせてみるといいですよ。もちろん郵便局も。私たちのように、運よく期間限定の格安パックに遭遇できることもあります。
梱包の手順はけっこう面倒
期間限定の格安パックなので、まずは荷物を取りに来てもらう日を予約しました。安いから人気があることと、最終日近くには集荷予約が殺到し、希望の日が取りにくくなるからです。私たちの場合は、先に発送してしまうことになったわけですが、日本への到着は私の帰国日より後になるように、運送会社のほうで調整して船に乗せてくれます。別送品は本人より先に日本に着いてはいけないんですよね。会社のオフィスから箱を購入してきて、さっそく荷造り開始。本やアルバムなど重い物を下にして、上に衣類などを入れるようにし、7箱がほぼ均等の重さになるように振り分けていきます。
ところが、やたらにドンドン詰め込んでしまってもいけない。なぜなら梱包明細書なるものを書かなければならないのです。梱包明細書には、箱に入っている物を全部書き出し、さらに数量と価格を記入します。その申告価格が、保険金の支払い限度額になります。
たとえば、あなたがC$50で買った洋服があったとして、何度も着たから現在の価値はC$20くらいと思ったら、C$20と書きます。万が一、紛失した場合は、このC$20が補償されるわけです。記入するのは1つ1つでなく、「衣類」や「書籍」としてまとめた価格でかまいません。その項目のすべてに新品か中古品かを書きます。
記入例はこんな感じになります。
<品名> | <数量> | <価格> |
衣類(中古品) | 10 | C$300.00 |
私たちが利用した格安パックの場合は、1箱C$1300までの保険が料金に含まれていました。だから1箱内の申告価格の合計がC$1300以内だったら、別に保険料を払わなくてもいいのです。
申告価格の合計がC$1300を超えた場合には、C$1000ごとに追加保険料のC$4を別途支払います。私たちは申告価格がC$1300を超えた箱が幾つもあったので、追加の保険料を払いました。この「梱包明細書」を7箱分書くのは(しかも複写のため強く書かなければならない)、手が痛くなるような作業でした。
大変だったのはビデオテープ。ビデオを送る場合は、自分が録画したものでも、全部のタイトルを書かなければならないのです。理由を聞いたら、ポルノビデオなどの流入を防ぐためなのですって。じゃあポルノ雑誌はいいのかなあ? とギモンに思いつつ(雑誌や書籍のタイトルは書く必要がないのです。もちろん私たちは持ってないですよ、念のため)、せっせと書き続けた私でありました。