手続きの方法が分からない!
結婚することを決めた時、まず頭に浮かんだのが、みなさんと同じように「婚姻手続きはどうするんだろう?」ということでした。どこにどういう書類を出せばいいのか、戸籍はどうなるのか……など、分からないことだらけ。特に私たちの場合、日本とスイスとカナダの3カ国に届けを出さなければなりません。どういう順序でどんな書類を提出したらいいのか……。う~ん、困った。
この時点で本籍がある市役所に問い合わせればよかったのですが、カナダにいたので、電話代をケチりました。問い合わせの内容も内容ですし、お役所ですから、きっと電話はかなり待たされるだろうと思ったわけで……。国際電話でそれはキツイ。
インターネットでは、当時まだいい検索サイトがなく、官公庁自体のホームページも少なかったのです。自分で調べるにしても、何省のサイトを見たらいいのか分からない。まだAll Aboutもなかったですしね。
唯一分かっていたのが、バンクーバーの日本総領事館への届け出方法。ただし、これはカナダ(ブリティッシュ・コロンビア州)で合法的に結婚した後、日本政府に届け出るためのもの。日本の市役所へ直接婚姻届けを出すための必要書類は分かりませんでした。
それでも、この時までは、まず日本で、結婚式の日付けで届けを出そうと思っていたのです。それがいちばん簡単そうだから……。
仕事が忙しかったこともあり、生来のノンビリ屋でもあったため、婚姻届けについて調べるのはこれで打ち切りにしてしまいました。あとは、結婚式準備と同様、日本に帰ってからすればいいやと思っていたのです。
ところが……
市役所に電話して初めて知った必要書類
帰国して、さっそく市役所に電話をかけました。スイス人との婚姻届けに必要な書類は?と聞くと、やはりしばらく待たされ……。でも思ったほどではなかった。最近は国際結婚が増えているので、きちんとマニュアルができているのかもしれませんね。そして、返ってきた答えが「婚姻届書と戸籍謄本に、相手の人の独身証明書とパスポートを添えて提出してください」。えーっ、独身証明書? そんなものがあるのぉ!?(と、私もこんなレベルだった)。
そこでハタと考えてしまいました。この独身証明書を発行するのは、東京のスイス大使館だろう。申請には家からの往復時間も含めると半日以上は必要。書類の不備などがあれば、1回では済まないかもしれない。しかし、彼が日本に来るのは式の前々日。その日に行くのはムリだし、次の日も衣装合わせや式の打ち合わせがある。
ということは……、ガ~ン、結婚式の日を婚姻届提出日にすることはできない!
ちょっぴりショックではありましたが、まあ、今まで自分がのんびりしていて、早く調べなかったツケでもあるので、仕方ないか……と。(←こういう切り替えは早い)
じゃあいつ届けを出そうかと考えてみましたが、挙式翌日はスイスの人たちが実家に来るし、その次の日から彼の両親と東京観光をするという予定があって、すぐには無理。そのあと自分たちの小旅行プランもあった。この合間にスイス大使館に行くことは、できなくはなかったけど、式の準備でもうヘトヘトになっていた私は、音を上げてしまいました。
それに、結婚式の日に届けが出せないのなら(一応、ここにはこだわっていたので)、あとはいつでも同じ。だったら、忙しい日本滞在中に無理して行なわなくても、カナダに戻ってからすればいい。日本ではスイス大使館とカナダ大使館に別の日に行かなければならず、東京まで2往復しなければならないけど、バンクーバーなら日本とスイスの領事館があるから、いっぺんにできる……などなど自分に言い訳をし、同じことを彼にも話しました。
もともと法的な届け出日にあまりこだわっていなかった彼は、すぐに納得して、すべての手続きはバンクーバーに戻ってから行なうことになりました。それで私は、挙式準備とスイスの家族の接待に集中することができたのです。
そしてカナダに戻り、法的な婚姻準備に取り掛かるのですが、これがまた意外に大変でした……