国際結婚の大先輩から聞いた話です。
その方は50代前半。同年代でやはり国際結婚をしている友人2人と久々に会ってお茶飲み話をしている時、こんな話題になったそうです。

「うちの夫、最近なんだか以前よりヤキモチ焼きになっちゃって、私が1人で出かけるとうるさいの」
「あら、うちもよ。今日も『どこに行くんだ? 何時に帰って来るんだ?』って、私が誰かに会いにいくのが嫌みたいなの」
「うちもそう。いつも傍にいて欲しいらしくて……。でも、子供じゃないんだから、ねえ」

3人とも「夫がこんなにヤキモチを焼く人だとは思わなかった」というところで、意見が一致したそうです。
若い頃は夫婦単位で行動することが多かったわけですが、同時に、妻が自分の職業や趣味の世界を持つことには寛大で、むしろ奨励して送り出してくれたのに、ある年齢に達したら急に妻の外出をいやがるようになった……、ということらしいのですね。

日本ではもともと主婦は家族をおいて外出しにくいという状況がありましたが、国際結婚した彼女たちは、子供をベビーシッターに預けて夫婦で出かけるとか、休日は夫が子供をみていて妻は外出できるということを体験してきたわけです。
それが、ここにきて、急に夫が変わってしまった。
もちろん、2人で散歩や買い物に行ったりということはしていらっしゃると思いますが、別行動を極端に嫌うようになったというのです。

長年つれそった夫婦だからこそ、心の結びつきは強く深いわけですから、別行動をしてもいちいち心配はしないという境地に達するかと思いきや、幼児返りしたかのように、夫はより束縛したがるようになってしまったことに対して、妻のほうが戸惑ってしまったようです。

裏返せば、ご主人は“寂しい”という気持ちをそのままストレートに出している、ということになるのでしょう。
つまりは“愛されている”ということ。束縛したがるご主人、可愛いではありませんか。

ひところ日本で、退職した夫がする事がなくて、どこでも妻について行きたがる現象を、“ぬれ落ち葉”とか“ワシ族”などと揶揄して呼んでいましたが、もしかしたら文化の違いで行動への出方が違うだけで、根底は同じことかもしれませんね。

3人の妻たちは「私たちは日本人の国際結婚が増え始めた初期の頃に結婚したから、年を取ると夫がこうなるということを初めて体験している世代なのかも……。これからまだまだいろいろ未知のことが出てくるに違いない」と語り合ったそうです。

たとえば退職、老後、病気、入院、相続、介護、死別などの問題を、国際結婚で、または海外在住で、これから多くの人が体験していくことになる、その世代だというのです。前例は少なく、自分たちの世代の体験によって何かまとまったものが残されていくのかもしれない、と……。

先駆者的な世代だった先輩方の言葉、重みをもって感じられました。
先輩方からさらに時代は下り、1980年代後半から急増している国際結婚。その後に結婚した私たちは、多くの体験者の話を聞くことができます。またインターネットで瞬時に世界中に住んでいる人と情報交換できるのですから、恵まれていますよね。

この世代の20年後、30年後はまた違ったものになっているかもしれませんが、我々の体験も同様に後の人の参考になるなら、しっかり伝えていってあげたいと思います。
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