もちもちのハミングバード・パンケーキ
コーヒーは、東ティモール産とキリマンジャロ産のフェアトレード有機栽培豆を使用。生パスタなどのお料理もすべて化学調味料を使わずに手作りされています。近年のカフェには、心身に負担をかけない食材、あるいは自然環境や世界各国の人々の生活といった視点が欠かせないものになってきていますね。
メニューでひときわ目をひくのは、何種類も揃えた魅力的なパンケーキ。今村さんがニューヨーク滞在中に愛用したカフェでは、パンケーキが朝食の定番のひとつでした。
ピーカンナッツとバナナをたっぷりのせたハミングバードパンケーキ。 |
「ニューヨークのカフェの朝食やブランチの光景が好きでした。週末の朝のカフェには活気があって、みんな分厚い新聞をひろげてのんびり楽しんでいて。スタッフもお客さまも、おおらかで自由なんですよね」
そんな体験がイリヤプラスカフェにもたらしたのが各種のパンケーキ。できるだけ身体に負担をかけない素材でつくるため、ベーキングパウダーのかわりに少量の重曹を使用。スタッフと試行錯誤を重ねて、卵を思いっきり泡立てることでふんわりした食感を生みだしました。もちもちしているのは米粉の身上。まるでニューヨークと下町が幸福に混ざりあって膨らんだような一皿です。
写真右:照明はアーティストである今村さんの夫の作品。彼はアメリカ、韓国、日本の芸術大学などでアートを教える経歴の持ち主で、コーヒーが大好きなのだそう。 |
壁塗りは自分たちの手で
築50年を経た空間は、今村さんが借りた時点では、天井に殺風景な蛍光灯が並んだり、エアコンが目立ったりして、本来の魅力が損なわれていました。今村さんは夫の手を借りて、この一軒家ならではの豊かな質感を取りもどす作業にとりかかります。蛍光灯をはずし、あかあかと燃える薪ストーブを入れ、自然なぬくもりのある新旧さまざまの家具を配置して。
北欧のユーズド家具があるかと思えば、カリモク、IDEE、MUJIと、出自は本当にばらばら。なかには友人である枝元なほみさんが「永遠に借りていていいよ」と持ってきてくれたテーブルも。それらがひとつの居心地よいムードを生みだしています。
無線LANも無料で利用可能。ここでは多種多様な時間の使い方ができるのです。 |
高い天井でゆるやかに回る扇風機。現在では貴重なものとなってしまった波板ガラスの窓。つくりつけの大きな書棚にはたくさんの本。このくつろぎの空間では日々、小さな人間模様が繰りひろげられているようです。