カフェ/池袋・駒込・上野・浅草のカフェ

iriya plus cafe イリヤプラスカフェ…入谷(2ページ目)

下町・入谷の路地に佇む築50年の一軒家をリノベーション。女性オーナーがつくるゆるやかな空気感のカフェは、体をいたわる素材を用いたパンケーキが自慢。さりげない風情の薔薇の花々を眺めて、憩いのひとときを。

川口 葉子

執筆者:川口 葉子

カフェガイド

もちもちのハミングバード・パンケーキ

コーヒーは、東ティモール産とキリマンジャロ産のフェアトレード有機栽培豆を使用。生パスタなどのお料理もすべて化学調味料を使わずに手作りされています。
近年のカフェには、心身に負担をかけない食材、あるいは自然環境や世界各国の人々の生活といった視点が欠かせないものになってきていますね。

メニューでひときわ目をひくのは、何種類も揃えた魅力的なパンケーキ。今村さんがニューヨーク滞在中に愛用したカフェでは、パンケーキが朝食の定番のひとつでした。
イリヤカフェの写真
ピーカンナッツとバナナをたっぷりのせたハミングバードパンケーキ。

「ニューヨークのカフェの朝食やブランチの光景が好きでした。週末の朝のカフェには活気があって、みんな分厚い新聞をひろげてのんびり楽しんでいて。スタッフもお客さまも、おおらかで自由なんですよね」

そんな体験がイリヤプラスカフェにもたらしたのが各種のパンケーキ。できるだけ身体に負担をかけない素材でつくるため、ベーキングパウダーのかわりに少量の重曹を使用。スタッフと試行錯誤を重ねて、卵を思いっきり泡立てることでふんわりした食感を生みだしました。もちもちしているのは米粉の身上。まるでニューヨークと下町が幸福に混ざりあって膨らんだような一皿です。

イリヤカフェの写真
写真右:照明はアーティストである今村さんの夫の作品。彼はアメリカ、韓国、日本の芸術大学などでアートを教える経歴の持ち主で、コーヒーが大好きなのだそう。

壁塗りは自分たちの手で

築50年を経た空間は、今村さんが借りた時点では、天井に殺風景な蛍光灯が並んだり、エアコンが目立ったりして、本来の魅力が損なわれていました。
今村さんは夫の手を借りて、この一軒家ならではの豊かな質感を取りもどす作業にとりかかります。蛍光灯をはずし、あかあかと燃える薪ストーブを入れ、自然なぬくもりのある新旧さまざまの家具を配置して。

北欧のユーズド家具があるかと思えば、カリモク、IDEE、MUJIと、出自は本当にばらばら。なかには友人である枝元なほみさんが「永遠に借りていていいよ」と持ってきてくれたテーブルも。それらがひとつの居心地よいムードを生みだしています。
イリヤカフェの写真
無線LANも無料で利用可能。ここでは多種多様な時間の使い方ができるのです。
また、今村さんが大好きだったという銀座の老舗ビアレストラン「ピルゼン」で長年にわたって使われてきた椅子も、ピルゼンなきあと、このカフェで第二の生命を得ています。

高い天井でゆるやかに回る扇風機。現在では貴重なものとなってしまった波板ガラスの窓。つくりつけの大きな書棚にはたくさんの本。このくつろぎの空間では日々、小さな人間模様が繰りひろげられているようです。

▼カフェの客席の人間模様

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