カフェ/カフェの特集記事

澤田洋史さんのラテアートと北米カフェ文化(3ページ目)

シアトルのラテアート選手権の優勝者、澤田さんにインタビュー。目の前で繰り広げられる超絶技巧は“エクストリーム・ラテアート”。イタリアの影響が濃いデザインカプチーノとの違いも教えていただきました。

川口 葉子

執筆者:川口 葉子

カフェガイド

ミルクの天使が導く人生?!

澤田さんはラテアートの本場・シアトルへの語学留学中に、個人経営のカフェでラテアートに出会います。シアトルを選んだのは「たまたま」と言いますから、人生を変えるきっかけはどこにあるわからないものですね。

大阪出身の澤田さんは、大学卒業後、東京の紀ノ国屋インターナショナルに入社して食品のバイヤーに。ナチュラルチーズを担当し、当時、世界最年少の25歳でフランスチーズ鑑評騎士(シュヴァリエ・デュ・タスト・フロマージュ)の称号を叙任。「食に関することにはのめりこむタイプ」と澤田さんは自身を振り返ります。

“ミルクつながり”で雪印乳業の広報部に転職した後、苦手としていた英語を習得するためアメリカに留学。9.11事件が起きた年のことでした。

「シアトルの学校に通いながら、よくスターバックスのようなチェーン店に行って自習していたんですが、ある日、ふらっと個人経営のカフェに入ってカフェラテを注文してみたら、目の前でするするするっとフリーハンドでラテアートを描いてくれました。それも、お持ち帰り用のペーパーカップに」

初めて目の前でラテアートを目撃して驚き、しかも、飲んでみたら非常においしいことにもう一度驚いた澤田さん。チェーン店ではミルクを大量にまとめて温めて、温度が下がってくると再スチームをおこないますが、そのカフェではミルクを小さなピッチャーに入れて、ラテを作る直前に1杯ずつ温めていました。

「温めたてのミルクは、フォーム(泡)がなめらかでシルキーなんですね。そのシルキーさがなければ、ラテアートは描けない。つまり、完璧なラテアートは、完璧なエスプレッソ、完璧なマイクロフォームのミルクで作られていることのしるしなんです。それに感激しました」

澤田さんはそのお店のスタッフに頼んでラテアートを教えてもらうことに。初めてラテアート体験でした。

日本に帰国するとき、シアトルの語学学校でクラスメイトだった有名商社の社員に依頼され、立ち上げ前のDEAN&DELUCA(ディーン・アンド・デルーカ)ジャパンの社員番号1番に。丸の内店など5店舗を立ち上げ、プライベートブランドの開発、カフェメニューの開発、バリスタのトレーニングなどに幅広く活躍します。

連日、本社での仕事が終わると各店舗に出向き、お客さまの感触やお店のスタッフの生の声を確認。そのかたわらカフェスペースのエスプレッソマシンの前に立ち、「ラテアートの技術を磨いてました(笑)」

▼初めてのラテアート選手権出場は「全然だめ」

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