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『コーヒー「こつ」の科学』石脇さんに訊く(3ページ目)

根拠があやふやなままに信じられてきたコーヒーの「常識」について科学的にわかりやすく検証し、コーヒー好き必携の書を上梓された著者・石脇智広博士に楽しいコーヒー談義をうかがいました。

川口 葉子

執筆者:川口 葉子

カフェガイド

意外なことに、二十歳過ぎまでコーヒーは決して好きではなかったという石脇さん。神戸の萩原珈琲のコーヒーを飲んで初めて開眼し、その後、知人に神保町の喫茶店「古瀬戸」に連れていかれたのを契機に、喫茶店で豆を買い、自ら挽いて楽しむようになったそう。

やがて都内各所の自家焙煎店の数々を訪れるようになると、おいしさにも多彩なヴァラエティが存在することを知り、コーヒーを吟味する舌の感覚も磨かれていきます。

コーヒーの魅力に気づいた当初と現在とでは、お好きな味も変化したとのこと。最近はどんなコーヒーを最高とされるのでしょうか。

「フルーティーなコーヒーが好きだということは言えるのですが、毎日仕事でたくさんのコーヒーをテイスティングしてきた結果、『どうしてもこの味でなければ!』という嗜好はなくなりました。たとえば、これはコロンビアの特徴がよく表れていておいしい、などと思うようになったのです」

「おいしい」の許容範囲

それでは、多種多様な味わいを知れば知るほど「おいしい」の許容範囲はひろがると考えてもいいのでしょうか?

「ひろがった一面もありますが、逆に狭くなった部分もありますね。『古くなった匂い』には非常に敏感になってしまいました。苦手なのは、淹れてから30分も経過したコーヒーの匂い。焙煎後に古くなった豆の匂い。また、生豆も半年で匂いが変わってしまいます。いわゆる古米の匂いがしてくるんです」

生豆も新鮮であることが大切なのですね。それでは、新しい生豆をワイン蔵のように静かな環境に何年も大切にねかせて、オールドクロップとして価値を加えている銀座のランブルのような自家焙煎店の味はいかがでしょう。

「それが、ランブルで飲んだコーヒーには古米の匂いを感じませんでした。生豆の選び方にコツがあるのでしょうか。不思議なものですね」

▼アマチュア時代の焙煎実験

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