「コーヒーの味を決めるのは、生豆の品質が7割、焙煎が2割、ドリップが1割などとよく言われますが、実際には生豆の品質がもっとずっと大きな比率を占めるのではないでしょうか。これは今でも毎日、焙煎、ブレンド、抽出の 作業を日常的におこなっていることで得た個人的な感触ですが」

石脇さんはそうおっしゃいます。私たち消費者としては、クオリティの高い生豆を仕入れて焙煎しているお店を見極める必要がありそうですが、それはなかなか困難なことですね?

「最初からあまり難しく考える必要はないですよ。コーヒーの基本は、まず楽しむこと」と、穏やかで優しい口調の石脇さん。
「知っておいてほしいのは、とにかくコーヒーは豆で購入するのが大切ということ」

これだけコーヒーへの関心が高まりつつあるのに、一般に販売されているコーヒーの7割はまだ粉製品だと石脇さんは残念がります。
「コーヒーをおいしく淹れる一番のコツは挽きたての豆を使うことなのですが、消費者にはまだまだそれが知られていないようです」

この言葉を学生時代の私に聞かせてあげたい!と心底思いました。なにしろ当時はまったくの知識不足でしたから、どうして先週は確かに良い香りがしたはずの粉が、今週は香りも風味も抜けた味気ない粉に変わってしまったのだろうと首をかしげるばかりだったのです。
コーヒーは豆を挽いた瞬間から劣化していくもの。コーヒーを粉で買うことは、じつは殻を割った生卵を買うようなものだと、あのころわかっていたら!

さて、粉生活から豆生活へとシフトするためには、コーヒー豆を適切に挽ける良質のミルを購入することが必要になります。

おすすめのミルは…

石脇さんは著書の中ではあくまでも客観的な視点と中立的な立場を保ち、ドリッパーやミルについて具体的な商品名を挙げていませんが、せっかくの機会ですから家庭用のミルのおすすめをうかがってしまいましょう。

「カリタのナイスカットミルがいいですよ」

ナイスカットミルの定価は25,000円前後ですが、私は数年前にAmazonで30%OFFで購入することができました。性能の良いミルがどれほど部屋で飲むコーヒーに変化をもたらしてくれたかを考えると、この投資は決して高くないと思っています。

なぜこのミルが推薦されたのかについては、本のページをめくってゆっくりお楽しみください。それでもやっぱり粉を買うほうが手っ取り早くて便利だと思われる方には、本文中のこんな一節をご紹介しましょう。

「挽きたての粉とかなり時間のたった粉をぜひ一度飲み比べてください。利便性の代わりに失うものの大きさにきっと気づくはずです」

▼人生で初めておいしいと感じたコーヒーは?