一見クールな貌をしながら、実はゆるがぬカフェ・スピリットを持ち、しっかりしたお料理を楽しめるholy。その視線はお料理を運ぶ順番にまで注がれています。
マネージャーの小寺れいかさんはニョッキをいつ運んでくるかを、あらかじめ私たちに訊ねてくれました。つまり、もしイタリア料理店でニョッキをいただくなら前菜の次にプリモ・ピアットとして登場するし、カフェや居酒屋などカジュアルなお店なら、最後の締めくくりの炭水化物としてニョッキやパスタを注文する人々もいるから。holyではどちらにも対応してくれるのです。
カフェで、お料理を出す順序を指定させてくれるとは!…と密かに感動してしまいました。これはスタッフの側に「イタリア料理のコースの流れとして楽しむなら、こんなふうに組み立てる」という知識がないとできないのですよね。
「メニューにないお料理でも、もしリクエストがあれば可能な限りお応えしています」と川上さん。バースデーケーキの予約注文ももちろんOKです。
お客さまは界隈のアパレル、ファッション業界の人々を中心に、ご近所に住む70代のご夫婦から代官山に遊びに来た若い人々まで幅広く、毎週、両親とともに訪れる3歳の子どもは必ずミートソース・リガトーニを注文するそう。
午前2時までオープンしているため、遅い時間に気軽においしい食事を楽しみたいときにも便利ですね。個人的に、いちばん奥のソファは仕事の打ち合わせに最適、と目を光らせています。
観光客でにぎわう東急線の線路西側の散歩にちょっとくたびれたら、どうぞ線路東側のholyでのびのびと時間を満喫しながら、何気ない部分に作り手の心が隠されていることに目を向けて楽しんでみてください。
ドリンクのグラスをお客さまのもとに運ぶときと、下げるときではグラスの持ち方を変える……そんな心づかいも踏襲されています。それは、からっぽになったグラスなら、お客さまの目に触れないように運びたいという気持ちの表れ。気さくで肩肘張らない接客は、そんな心に支えられているのです。