お酒がすすむ品揃え
平日は夕方6時30分からオープンするため、コーヒーよりもお酒を楽しむお客さまが多いそう。メニューのコンセプトは「長屋という和の空間でいただく自然派ワインと純米酒、そしてそれに合うおつまみ」。
長野の五一ワイン、フランスのコートデュローヌ、イタリア・ヴェネトのカベルネソービニヨンなど、無添加やオーガニックにこだわったワイン。そして、小石川に実家のある利き酒師・古川万里子さんがセレクトした純米酒の数々が、嬉しいリーズナブル価格で並びます。
お料理はそれらのお酒をいっそうおいしく飲ませてくれる、気取らないラインナップ。長屋という空間に基づいて、「先人の知恵に対するリスペクト」をテーマに、燻製や漬物、保存食を巧みに活用しています。もちろん、「抹茶ティラミス」(写真下右・480円)のようなスイーツも万全。
お酒を召し上がらない人には、「氷抹茶オーレ」(580円)をおすすめしましょう。凍らせた抹茶のクラッシュをグラスに入れ、その上から冷たいミルクを注いだ涼やかなドリンク。抹茶氷が溶けるにつれて風味が濃厚になっていきます。
まだ夏の暑さが残っていた土曜日の夕方、2人でビールを注文し、「自家製薫製の盛り合わせ」(880円・写真上左)をいただきました。半熟たまご、ししゃも、はんぺんなどを軽くスモークした、ビールと相性抜群の一皿。
食事にいただいたのは、挽肉炒めの上に目玉焼きをのせたタイ風バジルチキンご飯(写真上右)と、薬膳カレー(写真下)。野菜の持つ甘みと生姜の爽やかな辛さ、そしてコクのある風味がたまらない薬膳カレーには、田七人参、麻黄など何種類もの健康を助ける素材が用いられていました。
このあと、メニューの改訂がおこなわれたようです。柏木さんによれば、
「普通の一軒家を改装したためにキッチンがかなり狭く、しかも今のように使い勝手のよいシステムキッチンではなくて昔の台所という感じで、ストックヤードも小さいため、多くの食材を揃えて幅広い料理を提供しようとすると、どうしても食品廃棄が多くなります。
ゴミを出さない店づくりをしていたので、それが心苦しく、多くの方々のニーズに応えられなくても、さと和らしいメニューが出せればいいや、と開き直り、ラインナップを変更しました。
むしろストックヤードの小ささをいかして、その日仕入れたものをその日にお出ししたほうが、お客さまにとっても新鮮なものをお召し上がりいただけるので、いいかと考えました」
…なるほど、その通りですね! ただし、予約すればメニューにある以外のお料理も出していただけるそうですので、前日までに電話して予約することをおすすめします。
情趣あるたたずまいの長屋カフェで、気のおけない友人とおいしいお酒を傾けながら、少しずつ深まっていく秋の気配を楽しみませんか。さと和への道すがら、こんにゃく閻魔をちょっとのぞいていくのもどうぞお忘れなく。