さと和=調和
店名はサンスクリット語で「調和、純粋、創造、愛」。古いものと新しいものとの調和、アートとフードとの調和という願いが託されています。壁はギャラリーとして貸し出されており、オープニングを飾ったのは宇田川新聞さんのアート。相撲をモティーフにした作品の数々が、長屋のたたずまいとみごとに調和していました。
「ゴミを出さない店づくり」
長い歳月を生き抜いてきた家屋にも、たいていは美観上の難点があります。それは、かつての住人が“便利な近代化”を試みて中途半端に改装をおこなった箇所。時の流れとともに豊かな風合いを持つにいたった自然素材と、それらの美しさを台無しにするサッシ窓やビニールタイルの床などが同居しているのです。
柏木さんが友人たちの手を借りておこなったリノベーション作業にも、サッシ窓や床を取り去り、長屋の中に無造作に放置されていた古い建具を入れ直すなど、元の姿に戻すプロセスが必要でした。
その作業中に出た廃材から、漆喰を塗るコテを作ったり、引き抜いた釘を再利用したり、撤去した蛍光灯をひきとってくれる大日本プロレス宛に発送したりの「ゴミを出さない店づくり」に、環境との調和に対する意識の高さを感じます。(なぜ大日本プロレスが蛍光灯?!…とびっくりしますが、蛍光灯デスマッチをおこなっているんですって!)
本来の正面玄関は商店街に面していましたが、さと和ではその入り口を使わず、あえて細い小路に面した壁面に小さな引き戸を設けて、こちらを出入り口に。狭い路地の風情や、黒ずんだ板張りの外壁を眺めながらお店に入るという粋な演出です。