夜はもうひとつの表情で
夜のトコロカフェは、暗い街角にひときわ風情のある淡い光を投げかけています。トコロカフェのスピリットがいっそう際立つのも、夜の時間かもしれません。照明を落とした店内は、大人たちに隠れ家として愛される落ち着いた小さなホテルのバーのよう。ただしここにはお酒の類はいっさいありません。お酒がもたらす楽しみではなく、コーヒーがもたらす楽しみとともにゆるやかな夜の時間を過ごす……トコロカフェが提案するそんなシーンが日常のスタンダードとして加わったら、私たちのライフスタイルはさらに自由で快適なものになりそうです。
メニューはいくらでも増やせるけれど、厳選したものだけに絞りこむ。店内は余白を大切にして飾りたてない。あちこちを張り紙だらけにしてお客さまに気づいてほしいことを主張すると、ゆるやかな空気感が損なわれてしまうから、あえてただ微笑んでいる。
その姿勢はなんとストイックで、なおかつ豊かなことなのだろうと思います。そうして私はもう一度、茶道の精神を思い出したのです。引き算していくことで見えてくる、手の内にあるものの限りない美しさを。
すでにトコロカフェをお気に入りの場所のひとつに数えていらっしゃる方々は、この6月から定休日や営業時間が変更になっていますので、どうぞご注意ください。今後のトコロカフェには、また素敵なメニューが誕生するらしいですよ! 詳しくは知らないのですが、夜7時から登場するカレーをまだ味わっていないので、私の次のお楽しみはトコロカレーです。