国立のパティスリー・グリオットには、たとえば海外赴任から帰国して、成田空港から「ここのケーキが食べたかった」と直行する熱心なファンがいます。
「小さなケーキを1個だけ買っていかれるお客さまが大好きです。そういうお客さまは真剣にケーキを選んでくださいますから」
もともとはコーヒー専門店に自作のケーキを置いてもらっていたのが、葛西さんのプロとしての仕事のきっかけ。そのケーキの評判をデパートが聞きつけ、取材を受けたり、デパートでフェアをするようになり、やがて「ケーキを卸す仕事は、お店に届けたらそれでおしまい。お客さまの表情をたしかめたくなって」、どんな小さなアトリエでもいいから自分のお店を出そうと決心し、こつこつと資金を貯めたそうです。
たくさんの素敵な出会いと熱意に支えられて、パティスリー・グリオットが誕生したのは23年前のこと。そのお菓子づくりの現場は、当時も現在も少しも変わらず、ライブ感あふれる魅力的なものでした。
▼手のひらの感覚を駆使したお菓子づくり