まるで生菓子のような焼き菓子
お名前の“由利”にかけて百合を象った紋章を小さくあしらった白いお皿。その中央に、手のひらにのる大きさの、ふんわりきつね色をした焼き菓子をひとつ、ぽんとのせて。これ以上にシンプルなスイーツの光景があるでしょうか!
葛西さんがコンフォートスイーツとして大切にしたのは、しっとり、いきいきした食感と“すっぴん”のお菓子の魅力。
「さまざまな飾りをプラスしていったおいしさは、たくさん食べると、喉もとのあたりから疲れてきませんか」
葛西さんはそうおっしゃいます。
「飾りを引き算していった自然な味わいを、ともすれば添加物の味を好みがちな若い人々にも、選択肢のひとつとして知っていただけたら嬉しいですね」
上の写真は名作「リコッタチーズと松の実のケーキ」(620円)。リコッタチーズとカッテージチーズの軽やかなコクと風味と、香ばしいヘーゼルナッツと松の実の弾むような楽しい食感が、やみつきになりそうなおいしさです。
「シトロン」(600円)はバターをほとんど使わないスポンジ生地に新鮮なレモンをたっぷりしみこませ、まるで生菓子のようにしっとり、いきいきと仕上げた焼き菓子。中央にちょこんとのった小さなたねがなんとも愛らしい姿です。
写真上の小さな渦巻き型の焼き菓子は「サロン ド ルボンロール」(600円)。キャラメルカスタードをふわふわ、ぷるぷるの生地で巻き込んだ、お客さまのリクエストから生まれた一品です。