前嶋さんは東京育ち。オーストラリアで一年暮らしたあと、ダイビングを目的として沖縄にやってきた。
「バックパッカー時代から現地の生活にもぐりこみ、土地の人々と同じように暮らしたいと考えてきました。沖縄に来て働きながら大学に入学したのも、店を始めたのも、いま考えると沖縄体験を深める一環という部分があるようです。でも、12年間ここで暮らしてきてもなお、自分はナイチャー※
だという感覚が抜けない。おそらくはまだ、旅の途上にいるのだと思います」
※ナイチャー……沖縄の言葉で「内地の人」、つまり本土の人を指す。
では、いつか東京に戻る日も?
「それが、沖縄が居心地のいい場所になるにつれて、東京に帰る理由がなくなってしまったんです」