カフェ/三軒茶屋・駒沢・下北沢・荻窪のカフェ

adito(アヂト)…駒沢公園(4ページ目)

関西出身の女性たちが作り上げる極上の秘密基地には「大人様定食」「こてこてチーズケーキ」など名物メニューが多数。自由でゆるやかな居心地を支えるスタッフのプロ意識はみごとです。

川口 葉子

川口 葉子

カフェ ガイド

ライター、喫茶写真家。著書に『東京カフェ散歩 観光と日常』『京都カフェ散歩 喫茶都市をめぐる』(祥伝社)、『街角にパンとコーヒー』『東京の喫茶店 琥珀色のしずく77滴』(実業之日本社)他多数。雑誌、Web等でカフェやコーヒー特集の監修、記事執筆多数。Webサイト『東京カフェマニア』主宰。

...続きを読む
aditoのロゴ

ほどよい距離感への意志

つかず離れずの間合いへの意志は、1階カウンターの高さにも表れています。カウンター席に座ったお客さまが、キッチンに立つスタッフと目線をあわせにくい高さ。両者がしっかり話しこむようには設計されていません。

そのくせ、メニューやお店のホームページからは茶目っ気とサービス精神が伝わってくるのですよね。お客さまを一瞬くすりと笑わせる言葉。距離感とあたたかさの不思議なバランス。

お店のそんな意志はお客さまにも伝わり、訪れる人々のほうでも、いかにも常連客のようなふるまいは決してしないのですって。スタッフの親しい友人でさえも、ひとりでカウンターに座ったら、ついスタッフとなれなれしい会話を交わしてお店の空気を壊してしまうからと、必ずふたり以上で来店してくれるのだそう。

目には見えないカフェの空気を、作り手とお客さまの両方が大切な宝物のように扱っているのは、なんと素敵なことでしょう。
「このカフェは、お客さまが自慢なのです」とオーナー。
「お店のことをよく理解してくださるし、帰りがけに何も言わないお客さまがほとんどいないのです。必ず『ありがとう』などのひとことを添えてくださる方が多く、本当にお客さまに恵まれているなと思います」

相手の領域に踏み込まないかわりに、短い、なんでもないけれど心のこもったやりとりを。まさにカフェとお客さまとの理想的な関係ではないでしょうか。

おしぼりを渡すタイミングひとつとっても、「お客さまに手渡ししないこと。席についたばかりのお客さまは、そのとき他にしたいことがあるかもしれないので、おしぼりを手渡しせずに、お客さまのそばに置くようスタッフにお願いしています」
2002年のオープン以来、アヂトがカフェとしてはそろそろ長命の部類に入る5年という月日を生きてこられた秘訣のひとつは、こんなこまやかなまなざしにあるのかもしれません。

 

▼「すぐそばにいる誰かのために」作ってあげるお料理

  • 前のページへ
  • 1
  • 3
  • 4
  • 5
  • 6
  • 次のページへ

あわせて読みたい

カテゴリー一覧

All Aboutサービス・メディア

All About公式SNS
日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
公式SNS一覧
© All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます